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第223話 無知は犯罪だ!
母ウサギは物凄く怒っていた。
「すぐ返すからちょっと見せてね。
理科のお勉強よ。」
あまりの怒りの様子にこわごわ仔ウサギを小屋に返すと、母ウサギは仔ウサギを頭からバリバリと食い殺した。生徒たちは、泣いた。
教師のくせに知らなかったのか。動物は子供を取られるくらいなら、食い殺す、という事を。
文科省では、教育指導要領で小学校では小動物を飼う事が決められている。鶏が多い。教師にろくに世話の仕方も指導しないで無知な教師が渋々世話を担当することも多い。動物好きな先生のいる学校は幸いである。
当初は、命の尊さを教えるのが目的だったろう生き物係も、時々、臭い汚い、と酷い環境下に置かれている動物たちを見かける。
その話を聡にしたら、
「無知は犯罪なんだ。
知らなかった、で許されると思ったら大間違いだ。」
ウサギの件は三郎のトラウマになっている。
「教師と言っても、知識のない奴は多いんだ。
いわゆる、お勉強しかしてこなかった人間は、教師なんかになってはいけない。
社会を見て、揉まれてから教師になれ、って思うよ。」
聡も無知な教師に「アマッタクン」などとあだ名をつけられ人間不信になった過去がある。学校に行けなくなった。
そういう人間が教師になるのは犯罪に近いものがある。
図書館カフェにも中国人が入り込んできた。
図書館は静かにするのが当たり前だ。
「中々、綺麗なところよ。上から海が見えるか。」
階段を音を立ててドカドカと上がって行く、あの醜・金平と取り巻きたちだ。
だれでも自由に入れる公共の図書館だから、入場を拒否できない。
「海が見える店はここだけね。何か注文しよう。
珈琲のむね。」
注文が入ってジョーが忙しくなった。
醜・金平の取り巻きの輩が珍しそうに歩き回って片っ端から本を取り出してその辺に投げ出す。
「日本語ばっかり。オレは、読めねぇよ。
漫画ねえの?中国語の。」
中国語ならいいのか?
司書の女性が
「あのぅ、本は出したら元の場所に戻してください。それから投げないで。痛みますから。」
「へへぇ、本が痛いってよ。」
がははは、下品な大声で騒ぐ。
「やめてください!」
珈琲を運んできたジョーの顔色が変わった。
(ヤバい!ジョーがキレたら誰も止められない!)
『無頼庵』に電話をかけた。
「中国人が暴れてるんだ!」
オショーと五月雨が飛んできた。
こっちはジョーとタカヨシと三郎と聡だ。
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