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第224話 何が望みだ

 金平は何がしたいんだろう。  北関東にまるで外国のような街があるらしい。 問題なく友好的に外国の人たちが暮らしているという。  ケバブ屋のイムランに聞いてみた。 「あそこは主にブラジル系の人たちが多い。 私のようなアラブ系とはちょっと違う。  ラテン系の人たちは明るくていいね。 イスラムの戒律の厳しさはない。 ラマダン(断食月)もないし。 ドネルケバブに似たシュラスコってのがある。」  イムランも日本に来てからはそんなにキツいラマダンはしないようだ。ケバブも羊と鶏のほか、禁忌の牛肉も使っている。  緩やかに日本に合わせて暮らしている。 「金平たちも外国から来た人同士、仲良くすればいいのに。」 呑気に鉄平が言うと、 「なかなか厳しいんだよ。国の違いが争いになる。技能実習生も可哀想な人たちがいる。 主に若くて元気な人が実習生と認められるけど、 実習で何か技術を身につけられるわけではなさそうだ。  ベトナム人の女の子たちがカエルを取っていた。食べるんだ。いつも腹を空かせている。」 「なんで?」 「食習慣がちがうから、口に合わなくて、出された食事が食べられない。  それを生意気だとか、わがままだとか言って叱られる。日本の漬物や納豆なんかが食べられないのに。 農業の手伝いとかも多いんだ。  思ったのと違う、ってショックを受ける。」 「根が深いんだね。 外から批判じみたことは言えないな。」  鉄平はニートだ、と言っていた最近までの自分を恥じた。  今だって自称ラッパーと言っているが、これといった仕事はしていない。  フットワークが軽いのでみんなに重宝がられて簡単なバイトをするだけだ。便利屋か?  喧嘩は得意だった。今日はオショーと五月雨について来た。あの中国人の輩が暴れている、とSOSが入ったから。 「テメェら、なに壊してんだよ。表に出ろ!」 「は、何? この日本人、何熱くなっちゃって。」  人を食ったような金平の言い草に、ムカついた。オショーが 「醜さん、このところ胡乱(うろん)な動きをしているが、何が望みだね。」 「ああ、私何もしてないよ。 若い奴が仲良くしたい、言ってる。仕事させてよ。」

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