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第225話 実は小物?
一触即発はいつもの事。
「荒らした本棚を片付けてもらおうか。」
中はコーヒーをこぼしたりひどい状態だ。
「何がしたいんだ、ここで?」
「金の匂いがする。
楽しい事、独り占めは良くないよ。」
どこにでも食い詰めた奴はいる。醜の勝手な言い分。
「醜さん、あんたの噂を聞いたよ。
燻ってる若い奴を集めて、白浜ベースに金儲けのネタが転がってると言い回ってる中国人がいると。
元、族の中に、乗り遅れてる輩を上手い話で釣ってるって。
痛車狩りもあんたがやらせてんだろ。」
ジョーの言葉が不穏な響きを帯びてくる。
ロックバーのベースマン、ハヤシが新宿の噂を教えてくれた。彼はしばらく新宿でホストをやっていた。
「チャイマってそんなに甘くないよ。
醜・金平なんて聞いた事ないな。
李っていう人が東京のボスだよ。」
本物のチャイマは、やる事がハンパじゃないらしい。死ぬのを恐れない若い奴がゴロゴロいると言う。
「まず、目が違う。
統率されていて無駄な事はしないって。」
オショーは、醜・金平を案外小物ではないか、と思った。少しばかり資金がありそうだ。
キッチンカーと古着屋をシノギにしようとしている、と見た。
コケオドシか、デカいサバイバルナイフを目の前に突き立てて凄んでいるチンピラ。
「恥ずかしい奴だな。使い方知ってんのか?」
鮮やかな回し蹴りでナイフをすっ飛ばしたのは
ジョーだった。
血の気の多い輩が一斉に飛びかかって来た。
ジョーと五月雨がアイコンタクトすると素早い動きですり抜けた。
「ダセェ!コイツらケンカ慣れしてない。」
団子のように飛びかかってくるから固まって動きが鈍い。お互いに動きが取りにくくなっている。サッと後ろに回って団子を引き剥がす。
一人一人興奮して暴れ方が単純だ。
五月雨が嬉しそうに拳で殴る。歯が飛んだ。
そいつの首からタオルを取って口に突っ込んで殴る。これ以上歯を折らないように。武士の情けだ。
五月雨は何か楽しそうだ。拳を痛めないように自分もタオルを巻く。ボクサーがグラブをつける意味と同じだ。
気持ちよくストレートが入る。相手はもう、戦意を喪失している。
ジョーは別の奴に顎を砕くパンチを入れた。
「金平ちゃんも、かかって来いよ。」
「ジョーと五月雨で片付いたね。」
オショーが呆れて言った。
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