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第226話 商売
醜・金平たちは、悪さをして来なくなった。
古着屋に精を出している。
キッチンカーも単価は高いが、少しは常識的な値段になった。相変わらず美味しくはないらしいが。
『無頼庵』に集まった五月雨たちにオショーが言った。
「どうだ?ジョーと五月雨、ボクシングやらないか?」
知り合いの格闘家がここでジムを作る話、が出ているそうだ。
「ジョーさんは本気でやるといいよ。
あと、鉄平も、素質ありそうだ。かなりいい線行きそうだ。」
何故か五月雨は固辞している。
「琥珀が泣くからね。
それから、あの教育委員会はどうなったの?」
元教師の五月雨にずいぶん文句がありそうだった。
『無頼庵』のフレディと『妖博覧会』のジャンボちゃんは昔からの知り合いだった。
「あたしが○モードセミナーの学生だった頃、秋葉原でレトロなアーケードゲームのゲーセンをやってたのがジャンボちゃん。
あたし、ハマって毎日通ったわよ。」
ピンクの髪がかわいい、少しメイクをしているジャンボちゃんに
「フレディの恋人?」
と聞くと、
「誤解のないように。
私には妻がいます、女性の。
私はノンケ。ノンケです!」
「えっ、ええ?何で女装?」
フレディが肩を組んで
「ま、いいじゃん。細かい事は気にしない。」
『妖博覧会』は店の正面に生首のフィギュアが飾ってある。女の首。あの貞子を思わせる演出だ。
奥に進むと興味深いディスプレイに引き込まれる。妖艶な女装のジャンボちゃんが迎えてくれる。
今日はクラッシャーの亮たちが遊びに来ている。一角を占めているアーケードゲームにハマってずっとやっている。
アメリカンコミックから抜け出したようなピンボールマシン、座ってやるスマートボール。玉を一つずつ入れるパチンコ台。
ジュークボックスで音楽をかける。
店の前が即席のディスコになる。
白浜ベースに来ていた観光客の女の子たちも仲間に入って大盛り上がりだ。
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