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第232話 サブとジョー
「ジョーは殴り合いが好きなんだね。」
サブに言われた。
「そんな事はないよ。サブを打ったりしないだろ。」
ジムを立ち上げる事を話したら、三郎は悲しそうな顔をした。
「僕は、ずっと非暴力主義なんだ。
暴力は何も解決しない。」
「格闘技は暴力じゃないよ。」
「でも、人を殴るんでしょ。」
肩を抱かれてジョーの顔を見る。困った顔のジョーは素敵だ。わがままを言いたくなる。
ジョーの胸に顔を預けて、甘えてみる。優しく頭を撫でてくれる。
「僕は痛いことするの嫌いなんだ。」
ジョーは三郎がセックスの事を言っているのか、と焦った。
(痛かったのか?)
「痛みについて考えてみるよ。
ドストエフスキーだったかな。歯の痛みは哲学的だ、って言ったの。」
(良かった、あれの痛みじゃなかった。)
「人を平気で殴るの、理解できない。
聡に話してみたいな。」
三郎と聡、理屈っぽい二人だ。
(好きなだけ話してくれ。俺はめんどくさい。)
三郎の肩を抱いて愛しさが募って来た。
「サブ、キスしていいか?」
「うん?」
抱きしめてくちづけをした。心を込めて。
「サブが欲しくなった。」
「ジョー優しくして。暴力的なのはいやだ。」
二人で暮らす家。ベッドの中で抱き合って過ごす時間が好きだ。
「ジョーはタトゥー入れた時、痛くなかった?」「少しは痛かったよ。
トライバル柄は、塗りつぶす面積が大きいから、しばらく腫れてた。」
「どうして僕に何も言わないで、入れちゃったの?」
「あの時はラップにはまって、リリックが降りて来た。同時に何か覚悟が必要だったんだ。
タイジの影響もあった。俺ってダサいな。」
「そんな事ない。カッコいいよ。
僕の彼氏はカッコいいって自慢に思ってる。 それと、聡とタカヨシがお揃いのピアス入れてるの羨ましい。お揃いのタトゥーでもいいけど。」
「ピアス入れるか?タカヨシたちはピアスホールの拡張に苦労してたな。」
「トラガスは痛そうだ、軟骨でしょ。
リングピアスが可愛いな。二人でお揃いにしよう。」
取り外しするファッションピアスじゃなくて
つけっぱなしに出来るボディピアスにする?」
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