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第233話 山崎さん
数日後、ロックバーに涅槃寂静のボス、山崎さんが来ていた。相変わらずピアスだらけなのに圧倒される。
「こんばんは。俺、図書館カフェのジョーと言います。彼は俺のパートナーで三郎。
ちょっと教えて欲しいんですが。
そのすごい数のピアスの事です。」
ジョーが質問する。
「いきなりすみません。僕たちもピアス、あのボディピアスを入れたいと思って。」
ボスは笑ってべぇーっと舌を出した。センタータンが入っている。
「これの事?」
耳から、額から、頬も唇も数えきれない数のピアスが入っている。
牙のような、太い物やカッコいいもの。耳たぶなんか輪っかが埋め込まれて大きな穴になっている。
「すごい、痛くないんですか?」
「全身脱いで見せようか?」
「いえ、もうそんなに見せないで。
どうやって寝るんですか?」
三郎が夢中になって見つめている。
眠る時もだけど、セックスで抱き合う時も大変そうだ。そんなことばかり心配になる。
「ははは、君たちはそんなにたくさん入れないのだろう。セルフで入れるかい?
道具とかは通販で買えるよ。」
「日常生活なんか、困る事ないんですか?」
ボスは奥さんとか、いるんだろうか。
「私はマニアだからね、ピアスの。
ボディピアスは付けっぱなしだからそんなに大変じゃないよ。市川にいい先生がいるんだよ。
彫り師で皮膚科の医者だ。彫り辰。ピアスも詳しいよ。」
あの聡とタカヨシのピアスを入れた所だ。
そして、タイジとジョーも以前、トライバルのタトゥーを入れた彫り辰だった。
「あ、彫り辰なら知ってます。お世話になりました。和彫りじゃなかったので、若いスタッフが機械彫りで入れてくれたんです。」
「じゃあ、知ってるんだね。彫り辰を。
皮膚科の医者だから、なんでも相談できるよ。」
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