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第234話 天下劇場

「タンに入れたいわけじゃないんだろ。 私の嫁はクリトリスにもピアスをしているよ。」 「えっ?奥さんがいるんですか? クリトリスって!そんな事暴露して!」 ジョーと三郎は焦った。二人とも女体をよく知らない。ジョーは専らネットでゲイビデオを見てセックスを学習した。  女性まで気が回らなかった。あけすけにそんな事を言うボスに、二人ともタジタジだ。 「今度ウチに遊びにおいで。妻のピアスを見せてあげよう。」  この人の頭の中はどうなってるんだ⁈ 「驚いたかな。 うちの奥さんは、F市の天下劇場のストリッパーなんだよ。花園飛鳥(はなぞのあすか)って言う。頼めば、ご開帳してくれるよ。」  天下劇場といえば、男の憧れ。みんな知ってる男の夢の国、だ。  あのネズミのいる夢の国は子供用だが、天下劇場は大人の男の夢の国、だ。  天使のようなストリッパーが全てをご開帳、ってわけだ。花園飛鳥は男の夢、といわれている、  女性経験のないジョーと三郎も、劇場の名前だけは知っていた。  そこの人気ナンバーワンの踊り子さんが、ボスの嫁、だなんて⁈ 「知ってるよ、君たちはゲイなんだろう。 だが、女の身体もいいもんだよ。」  大人の余裕を感じさせるボスの言葉だった。  帰って来て、好奇心からその話ばかりしてしまう。 「花園飛鳥ってすごい美人だよ。検索してみたらたくさん出て来た。  こんな綺麗な人が脱いでくれるんだ。」 「サブは行ってみたくなったの?」 ちょっとジェラシーだ。乱暴に抱き寄せた。 「行ってみようか、ストリップ見に。」 「ボスに断ってからだよ。勝手に行ったら、感じ悪いだろ。」 「ジョーも見たいの?」 「ああ、興味は、あるよ。」 「女を好きになったらイヤだ。」 「バカだなぁ。」 涙目で言うサブを抱きしめた。 「センタータンってすごいね。 どうやってキスするんだろう?」  唐突に舌の真ん中にピアスを付けているボスを思い出した。

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