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第246話 和彫り野郎石田
この頃あの中国人がおとなしい。何か、他に美味い話を見つけたのか。
『無頼庵』にあの和彫り野郎、石田三成が来た。この頃は本当にヤクザになったようだ。
チャラいのでまだ盃は貰えていないようだが、いっぱしのヤクザ者の顔をしている。
「おう、みっちゃん、どうした?
新宿に行ったんじゃないのか?」
「行かねえよ。M会の構成員になってんだよ。
ところで、目障りなのがのさばってんじゃん。」
醜・金平の古着屋の事だ。
「兄貴によ、白浜ベースはおまえのシマだろ。
中国人にデカいツラさせていいのかよ、って言われてよ。」
「いつからおまえのシマになったんだ?
ここにヤクザは入れないよ。」
穏やかにオショーは言った。
「古着屋、儲かるんだってな。
俺にも一枚噛ませてくれよ。」
中国人は出店の許可も取らずに、勝手にやっている。
白浜ベースとしては、下○沢のクラッシャーのミカドと聡が組んで古着屋を出しているので、タカヨシと亮たちが手伝っている。
カッコいい店で、噂を聞き付けて、けっこう遠くからも若者がやって来る。
コスプレ女子が『無頼庵』からも流れて来る。
白浜ベースも有名になって来た。
他にも面白そうな店が数軒準備しているようだ。
「波風立てるなよ。」
石田は五月雨に釘を刺された。
「おまえ、体力余ってるだろ。
ジムが出来るから通って来いよ。
ボクシングジム。」
「へえ?いいねぇ。いつ出来るの?」
「今建ててるだろ。」
『無頼庵』の並びに建築中の建物があった。
プロボクサーの堂島さん監修の建物だった。
「ボクシングもやりたいけど、なんかシノギになる事しないとよ。
古着屋,儲かるんだって?
捨てるゴミが金になるんだろ。」
相変わらず石田は甘い男だ。
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