45 / 83

番外【R18】思い出エッチ

 護のベッドに、二人揃って横になる。  息が止まるようなキスをされて、思わず護に縋り付いた。  離れた舌が熱いまま、護が直桜の首筋を舐め上げる。 「ぁん……」  甘い吐息が零れ落ちた。 「護は最近、俺がヤキモチ妬くと喜ぶよね」  ぽそりと呟く。  集魂会で気枯れをしてしまった時も、怯えるより先に直桜の盛大なヤキモチを喜んでいた。 「最近じゃないですよ。最初からです。直桜が私に神紋をくれた時とか」 「あの時って、ヤキモチ妬くような理由、あったっけ?」  未玖の魂魄を祓い、護の中に残った直桜の神力の残滓が神紋になった。  その時点なら消す選択もあったが、護が定着を望んでくれたから、生涯の眷族に出来た。 「私を槐に取られるのが嫌で、浄化を急いで神紋をくれたんだと思っていました」  艶っぽい瞳が直桜を見詰めたまま、指先が髪の中を弄る。  それがやけに気持ちが良くて、ずっと触っていて欲しくなる。 「違いましたか?」  耳元で囁いた吐息も熱い。  耳を食まれて、びくりと腰が震えた。 「違わな、い……けど、ぁ!」  護の手が股間に伸びて、服の上から優しく陰茎をなぞる。  熱を持っていた股間はすぐに硬さを増した。  服が擦れる感じがいつもとは違う快感をせり上げる。 「始めて直桜にキスした時だって」  言葉が終わらない内に唇を吸われて、吐息ごと吹き込まれる。 「ふ……、んぅっ」  初めて護にキスされたのは、まだ楓の正体を知らない頃だ。  お互いに只の大学の同級生だった時にキスされたと話したら、護に壁ドンされてキスされた。  あれが、護と付き合うきっかけだった。 「はぁ、ぁ、ぁんっ」  深く差し込まれた舌が口内で絡み合って、息が止まった。  一瞬、離れた隙に息を吸い込んだら、すぐに舌が絡まった。  気持ちが良くて、頭が呆然としてくる。 (今日の護、まるで昔をなぞるみたいに。でもあの時のキスは、こんなに激しくなかった) 「あの時、嫉妬したのは私でしたけど。枉津楓にキスされた時、私を思い出してくれましたか?」  耳たぶを食んで、首筋を舌でなぞられて、鎖骨を甘く噛まれる。  いつもの仕草が、今日はやけに擽ったい。 「考え、た……。おれが、護に、キスした時、どう思ったかなって」  護の舌が、直桜の胸の突起を舐め上げた。 「ぁん! 擽った、い……、はぁ、ぁ、ぁぁっ」  吸い付きながら舌先で弄ばれて、体がびくびくと震える。 「嬉しかったです。同時に、怖かった。私の前から直桜がいつ消えてしまっても、おかしくなかったから。あの時の直桜はまだ、私を意識していなかったでしょうから」  舐めながら話されると、吐息が掛かって余計に敏感になる。  胸の尖りがすっかり硬くなって、護の舌が触れるたび、頭が痺れる。 「そ、だけど……、でも」  きっと、もう好きだった。  初めて会った、あの瞬間に離れたくないと感じていたから。 「キス、したのは、好き、だったから」  護の舌の動きが止まった。 「面接で会った時、あの場で断るつもりだったんだ。でも、護の清祓を引き受けたのは、もう会えなくなるのが、嫌だったからで。繋がりが、消えるのが嫌だった」  気持ち良さの残り香が、体中に広がる。  直桜は手を伸ばして、護の股間に触れた。  護の股間も直桜と同じように熱くて硬くなっていた。 「これ、ちょうだい。護ともっと繋がってたい」    直桜を見詰める護が、息を飲み込んだ。 「参りましたね。直桜を煽っていたつもりだったのに、すっかり煽られてしまいました」  直桜の服を剥いだ護が、上着を脱ぎ棄てる。  下着をずらして、すっかり勃った自分のモノを直桜に見せ付けた。 「じゃぁ、今日は直桜が咥えてくれますか? 御褒美、ください」  護が悪戯っぽく笑んだ。  初めてエッチした時も、一番初めは直桜が「ご褒美」という名目で護にフェラした。  ベッドに座る護の股間に顔を埋めて、大きくなった男根を咥え込む。  裏筋に舌を這わせて舐め上げながら口を窄めて扱く。  先を吸い上げて、カリを舌先でクイクイと攻めた。 「んっ、直桜、上手になりましたね。今日は特に、気持ちいい」  腰を浮かせて、護が声を震わせた。 「全部、護が俺に教えたんだよ。護が俺をこんなにエッチにしたんだ」  ちらりと目だけを上向かせる。  護が嬉しそうに笑った。 「そうですね。全部私のせいです。責任を取らなきゃね」  護の腕が直桜の尻に伸びる。  穴を刺激されて、腰が浮いた。 「ちゃんと咥えて。気持ち善くしてください」 「そんなにしたら、気持ちくて、フェラできな、ぃ……ぁっ」  少しずつ穴を押し広げて、護の指が中を弄る。  善い所にあたって、体が跳ね上がった。 「ココすると、直桜はすぐにイっちゃいますね」 「ダメ、ダメ。今日は、護のでイきたいから、指は、ヤダ」  いつの間にか指が二本に増えて、直桜の中を否応なく刺激する。 「ダメ、だってばぁっ。護、イっちゃ……」  足がガクガク震えて、腰が逃げる。  直桜の逃げる体を足でしっかり掴まえられる。身動きが取れない直桜の頭を護がぐっと押し込んだ。陰茎の先が喉奥にあたる。  苦しさと同時に上がってくる快感が、指の刺激と重なって、目の前がチカチカする。 「苦しいのも好きなんだから、困ります。直桜が悦ばなきゃ、しないんですよ」  きっと、そうなんだろう。  イラマも噛み跡も、直桜が悦ばなければ護はきっとしない。  ぐじゅぐじゅに唾液を絡ませて、護の陰茎を喉奥まで咥え込む。  喉奥に先があたるたびに、護が善さそうな吐息や声を零すから、嬉しくなる。  護が、イラマをするのもされるのも好きなのを知っているから、余計にしたくなる。 「ぁっ、んっ、やぁ……、ぁあっ!」  思いっきり喉奥に咥え込んだのと、護の指が強く直桜の中の善い所を刺激したのが同時だった。  我慢する暇もなく、簡単に達してしまった。 「らめって、言った、のにぃ」  陰茎を離して顔をあげる。  護の顔が艶を帯びて笑んだ。 「顔、ぐちゃぐちゃ。まるで最初の時みたい。あの時、俺は直桜の顔で欲情を我慢できなくなったって、覚えてます?」  護の鎖骨に噛み付く。  いつもされるように甘く噛んで、強く吸い付いた。 「俺が護と、どうしてもシたくて煽ったって、気付いてた?」  得意げに笑って見せる。  護が、本当に嬉しそうに笑った。 「気付いてた。自分からシないって言ったのに、狡いって思った。俺はずっと我慢してたのに」  腹の中の魂魄を祓うまでお預けと切り出したのは、直桜だった。  その約束を破ったのも直桜だ。 「嫌だった?」 「嬉しかった」  護の腕が直桜を抱きしめて、押し倒す。  後ろの口に、熱い男根の先が触れた。 「あの時みたいにゆっくりしたら、今の直桜はきっと嫌がるな」  鬼化していないのに、鬼化した時のような話し方をする護が、初めてシた時の姿に重なる。  鬼力が成った護はもう鬼化で体躯が大きくなったりしないから、あの時のようなセックスは出来ないんだろう。  クイクイと口を押し広げて、太い男根が中に入ってくる。 「ぁっ、んんっ、今は、もう、あの時みたいに、痛くない、からっ」  あの時は、何もかもが初めてで、護と繋がれただけで嬉しかった。  回を重ねる度、抱き合う度、今は気持ちが良くて愛おしくなる。  直桜は自分から腰を上げて、護の男根を飲み込んだ。  護の顔が快楽に歪む。 「直桜っ、急にしたら、直桜が壊れる」 「壊れないよ。護だから、平気」  腕を伸ばして、護の首に縋り付く。 「いっぱい擦って、いっぱい突いて。初めての時より、激しくして」  耳に口付けて、甘く食む。  腰を動かすと、護が悩まし気に息を吐いた。 「こんなにエッチになって、困りましたね。直桜が可愛くて、本当に激しくしちゃいそうです」  直桜の体を抱き寄せると、護が腰を押し付けた。  男根が根元まで入って、軽く奥にあたる。それだけで、腰が震える。 「エッチなの、嫌?」 「大好きです」  直桜の耳を舌で犯して、唇を重ねる。  腰がゆっくりと動いて、大きく奥を突いた。 「あっ! っん、あぁっ、まも、る、ソレ、ダメ、すぐに、イっちゃう!」  浅い所を焦らすように擦りながら、突然最奥を突かれると、それだけで達してしまう。  何度も同じように攻められると、何度も絶頂する。 「いいよ、何回でもイって。直桜は一回じゃ収まらないんだから」  護が突く腰を強くする。  すぐに奥に届いて、その奥にハマりそうになる。 「ぁっ、ぁんっ、奥、ハマったら、おかしくなる、からぁっ」  目の前がチカチカして、既に足がガクガクしている。 「俺ので、おかしくなっちゃう直桜が可愛い。もっとおかしくなって、気持ち善くなってる直桜を見せて」  既に何度か軽く中イキして、男根の先からトロトロと白濁が流れている。 「ぁ、ぁ、んっ」  突かれる度に体が揺れて、上手く話せない。  頭の中が快楽で白く染まる。 「まもる、好き……、俺だけの……、俺でだけ、気持ちく、なって、ぁんっ」  気持ち善すぎて、自分が何を言っているのかも、よくわからない。  腰に燻ぶっていた快感が背中から脳に抜けて、体がびんと伸びる。  いつの間にか達して、精液が直桜と護の腹を汚していた。 「気持ちぃ、もっと、まもる、ほしぃ」  ピストンが激しくなって、目の前の護の顔が歪んだ。 「繋がってる時の直桜は俺が欲しい言葉ばかり可愛く言うから、我慢できなくなる」  直桜の頭を抱えて、耳に口付けた。 「もっと焦らして虐めたかったのに、今日は直桜にやられちゃいました。お返しにいっぱい中に出しますからね」  直桜の肩に腕を回して抱き締めて、腰を激しく打ち付ける。 「ぁっ! ダメ!、ソレ、またイくっ!」  直桜の先から白濁の液が溢れる。 「直桜ッ、直桜!」  ぐっと強く中に押し付けて、護の体が硬直する。  腹の中が温かくなって、護の精液が流れ込んで来たのが分かった。 「俺、いつか孕みそう……」  直桜の体内に入った異物は基本、浄化されてしまうので、一般的に言われているような腹痛などは生じない。  最初は護の中に溜まった邪魅を清祓する意味合いもあったから、意識して中出ししてもらっていた。  その頃からの癖で今でもゴムは使わず中出しなのだが、これだけ出されると、そろそろ子供が出来てもいいかなと思えてくる。 「男の子でも女の子でも、二人で大事に育てましょうね。二人でパパになれるの、楽しみです」  脱力して直桜の上に覆いかぶさっていた護が、腹を愛おしそうに撫でる。  あまりこの手の冗談に乗ってこないのに、今日はノリノリだ。 「護がそんな風に言うと、本当に産めそうな気がしてくる」  護との子供なら、欲しい。出来るなら、産みたい。 「直桜と二人の生活も、子供がいる生活も、どちらも楽しそうです。これだけ怪異の坩堝にいると、そんな未来もあるかな、なんて思えてきますね」 「うん、そうだね。どんな未来でも、護となら楽しそうだ」  手を握って、笑い合う。  毎日、怪異に触れる13課に居れば、そんな不思議もあるかもしれない。  そういう未来も楽しそうだなと、自然に思えた。

ともだちにシェアしよう!