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番外【R18】スローセックス
訓練を終えた直桜たちには三日の特別休暇が出た。
正確には特別休暇という名の代休だ。
昨年の十二月上旬から代休を取れと言われていたが、そんな暇もなく訓練までが流れた。
正月休みを挟んだとはいえ、流石に優士からお𠮟りがきたらしい。
「俺に言われても困るんだよな。決めてんのは俺じゃねぇからさ」
清人が愚痴っていたのは、本音だと思う。
そんなわけで出張から訓練まで休みなしだった智颯・円は一日、直霊術訓練漬けからの出張さらに訓練に入った保輔には二日、九月の下旬からほぼ休みなしだった直桜と護には三日の特別休暇が付与された。
「保輔はちゃんと学校に行けてたのかな」
十一月の中旬に13課に所属になってからは陽人の訓練漬け、その後に栃木出張があり、年明けは特殊訓練だった。
学校に行く暇があったとは思えない。
その辺りの事情を知って融通してくれる神代学園でも、流石に欠席日数が多すぎれば進級できないだろう。
「もう一回、二年生をやるって決まったらしいです」
護が気の毒そうな顔で教えてくれた。
「やっぱり。智颯だってギリっていわれたらしいよね。保輔が通るわけないよね」
栃木出張と特殊訓練で三週間程度は休んでしまった智颯ですら、学校側から苦言があったらしい。
「でも本人はあまりへこんでいる様子はなかったですよ。むしろ、もう一回二年生をやればクラス編成のテストでF組に入れるかもしれないからラッキーって話していました」
神代学園高等部は年度末の学力試験でクラス編成が決まる。
F組は成績上位者のクラスだ。
智颯がF組、瑞悠がE組に入っている。
上位のクラスほど大学の推薦枠をもらいやすいなど待遇が良いらしい。特に系列である神代大学は推薦枠が多いので、13課の事情であるならば留年した方が有利ではあるかもしれない。
「入学した頃からbugsの関係で休みが多かったから、13課に入ったせいでもないらしくて。本人も多少は覚悟をしていたようです」
二年生になってからもきっと欠席は多かったのだろう。
bugsの活動を考えれば、忙しくなったのは二年生に上がってからだろうと思う。
「直桜は大丈夫なんですか? 大学、全然行けてなかったですよね?」
護が直桜の腹に回した腕を抱き直す。
近付いた体をぴたりとくっ付けたら、すぐそこに顔があった。
「俺はもう、卒論も終わってるし、単位も取ってるから問題ないけど。二月に何日か通うかな。卒業前に、お世話になったゼミの教授に挨拶とかしたいから」
本当は大学に行くのも気が乗らない。
偶然でも楓に会ってしまったら、どんな顔をすればいいのか、わからない。
(普通にしてればいいんだろうけど。半年前とは変わっちゃったからな。陽介、元気にしてるかな)
陽介と楓と三人でつるんでいた頃が、今となっては懐かしい。
護が直桜の項に口付けた。
「付いていきたいくらいです。一人で行かせるのは、心配です」
護は、楓が直桜の大学の同級生であると知っている。
「護なら学生に紛れてもバレなそうだけど。楓に見つかったらバレるね」
「枉津楓に鉢合わせないために、付いていくんですよ。大学で会っても二人きりになってはいけませんからね」
護が腰を浮かせて強く押し当てた。
「待っ……て、護。動かないで。我慢できなくなるから」
直桜の中には既に護の大きくなった男根が挿入されている。
この状態で三十分~四十分は耐えないといけないのに、動かれたら欲しくなる。
時計を確認しても、まだ十分程度しか経っていない。
思わず体に力が入ってしまった。
「あんまり締め付けたら、私も我慢できません。ゆっくり息を吐いて、体の力を抜いて」
「ぁ……」
臍の辺りを指でそっと撫でられて、力が抜けた。
訓練の工程が無事に全部終了したら、入職半年祝いの御褒美をくれると護が約束してくれた。
だから直桜は、前からずっと言ってみたかったお願いを思いきって伝えてみた。
『護に我儘、言ってほしい。護のしたいこと、俺が叶えたい』
驚いた顔をしていた護だったが、頷いてくれた。
『それじゃ、私の御褒美になってしまいます。けど、直桜が望んでくれるなら、お願い事が一つ、あります。直桜でないと叶えられないお願いです』
ベッドに入って、いつもより焦らすような前戯が続いた。
乳首にも男根にも、中にも触れないのにくすぐったくて、気持ちいい。
ぞわぞわした快楽が体の中に流れて、時々に触れる指だけで胸の突起はすぐに尖るし、男根もあっという間に勃起した。
『今度は俺のに触れて』
手を取られて、護の男根に触れると、やっぱり既に熱くて大きくて、それだけで興奮する。
誘導されるままに護に触れて、熱い唇に何度も愛撫される。
全身の熱が浮いたまま、護が直桜の中にゆっくり入ってきた。
それから動かずに、じっとしている。
スローセックスとか、ポリネシアンセックスというらしい。
ずっと体が熱くて、じれったいのに気持ちが良くて、このままでいたくなる。
動かないでいれば、さっきまでのように普通に会話も出来るのに、少し刺激されるとすぐに欲しくなって、興奮がせり上がる。
「いつもより護を感じる。気持ち良くて、嬉しい」
直桜の中にいる護が時々、ひくりと動くのが、可愛くて気持ち良い。
護の指が直桜の腰の骨に沿って、皮膚を撫で上げる。
「ぁ……はぁ……」
指の腹が触れるか触れないかくらいの弱々しい動きで這いまわる。
敏感になった肌が刺激を感じ取って、体が震える。
「俺も、いつもより長く直桜の中にいられて、嬉しい。直桜、また興奮してきました?」
舌先が耳の形をなぞるように這い動く。
「ぅん……、はぁ、ダメ、それ以上したら、あと十分も、待てない」
手を後ろに回して、護の手を探す。
彷徨う直桜の手を護がやさしく握った。
「じゃ、悪戯はこのくらいにしましょうね。直桜は感じやすいから、すぐに達してしまいますからね」
肩をパクリと甘噛みされて、押し付けた舌が舐め挙げる。
舐める柔らかさも唾液で濡れた肌が空気に触れる感覚も、総てが気持ちいい。
「んぅ……ぁ、はぁ、ぁ……」
護が後ろから直桜の顔を覗き込んだ。瞬間、直桜の中の護の男根が大きくなった。
「まも、る……?」
そっと振り返ると、護が照れた顔を朱に染めていた。
「直桜の顔がいつもより蕩けてて、すごくエッチです……」
直桜の中で護の男根がびくびくと跳ねた。
反射的に下の口を締め付ける。
「直桜、ダメ。締めないで。我慢できない」
「そう、言われても。護が動くと、締まっちゃう」
直桜の肩に埋めていた顔を上げて、護が耳元に唇を寄せた。
「そんなに、離したくない?」
「離さないし、逃がさない。護は俺だけの護だから、誰にもあげない」
直桜の中の護がまた大きくなって、さっきより大きく跳ねた。
護が腰を押し付けて、太く大きくなった男根が直桜の奥を擦る。
「や! ダメだってば、護。まだ、我慢なのにっ」
「だって、直桜が。直桜が煽るから」
小刻みに腰を揺らしながら、護がぐりぐりと直桜の背中に顔を押し付ける。
「煽ってないよ。いつもと同じこと、言ってるだけなのに」
「だから、それが、もう……」
ぴたりとくっ付いた腰を、護が円を描くように小さく動かす。
すっかり護に吸い付いている中が擦れて、快感がじわじわとせり上がる。
「護って、俺のって言われるの、好き?」
護の男根がビクンと脈打った。
返事を聞かなくても、答えが分かった。
「だから、俺が嫉妬すると、嬉しいの?」
直桜が独占欲を露にすると、護は喜ぶ傾向がある。
「俺のって、付き合い始めた頃から、言ってる気がするけど」
神紋を与えた時も、白雪と剣人に悪戯された時も、セックス中に興奮するたびに言っている気がする。
「そういうところが、ずっと大好き……」
背中に押し当てている額が熱い。
直桜の中の護の男根がビクビク震えている。
こんな風に照れる護はあまり感じたことがない。
思わず下の口が締まった。
「ぁっ、直桜……、んっ、出そ、う……んっ」
いつもより艶を纏った小さな喘ぎが、耳元に吐かれた。
「護のそんな声聴いたら、俺も、無理……。もっと声、聴かせて」
直桜の腰が緩やかに揺れる。
それに合わせて、護の腰が動く。
奥に届きそうで届かないじれったさと、浅い所を擦る感覚でもう、達してしまいそうだ。
「ぁ、はぁ……。こんなの、まるで、直桜に抱かれているみたいで……んっ、はぁ……」
護の腕が直桜の脇を通って肩に回る。
その手を握り締める。
指と指を絡めて、互いに握り締めた。
「も……、我慢、しなくて、いい?」
護が欲しくて、腰が勝手に動く。
根元まですっかり飲み込んだ男根が、もっと奥まで欲しくなる。
「このまま、突いていい? 俺も我慢、出来ない。もっと、直桜が、欲しい」
腰を押し付けながら、護のもう片方の手が直桜の腹を抑え込んだ。
「ぅん、このまま、シたい」
緩く動いていた護の腰が、徐々に大きく波打つ。
いつもより奥に届いていないのに、大きな快楽の波が押し寄せる。
「ぁぁっ、直桜、好き……、直桜っ」
首に強く噛み付かれて、痛み以上の快感が脳に抜ける。
握った指に力を籠めて、快楽の波に耐える。
「護の全部、大好き。俺しか知らない、護。俺だけの護、もっと、ちょうだい」
護の腰の動きが激しくなって、奥を突く。
視界がブレて目の前がチカチカ光った。
「ぁっ、ぃっ……ちゃ、ぅ……」
喘ぎより先に、直桜の男根の先から精液が吹き出した。
腹の中が熱くなって、護も達したのだとわかった。
「はぁ、はぁ……。そんな風に、言われたら、動かなくても、出ちゃうでしょ」
護がぐったりと直桜に凭れ掛かる。
男根を引き抜こうとするのを、腰を押し付けて止めた。
「出した後も、このままでいるんだよね?」
確か、始める前に護がそんなような説明をしていた。
護の体がビクリと震えた。
「このままでいたら、すぐにまた勃ってしまいます……」
「いいよ。勃ったら、もう一回、シようよ」
護の男根が、ピクリと跳ねた。
本当にすぐに勃ってしまいそうだ。
「俺、スローセックス好きかも。シながらたくさん話せるし、いつもと違う護が知れて、嬉しい」
むくり、と直桜の中の護が、大きくなった。
返事がなくても、護の気持ちがよくわかる。
「俺も、好き。だけど、ちょっと恥ずかしい」
零れた本音が、可愛い。
こんな護は滅多に観られない。
「今日から三日も休みだし、ちょっとくらいヤり過ぎても、あと二日ゆっくり休めるから、心配ないよ。三日間、色んなプレイしてもいいよ」
護の男根が、硬くなった。
乗り気だし嬉しいようだ。
「じゃぁ、今日はじっくりスローセックス、楽しみましょうか。明日は直桜が好きなSMプレイします?」
ドキリとして、後ろの口が締まる。
護がニコリと笑んだ。
「今日、直桜に抱いてもらった分、明日はいっぱい虐めてあげますね」
直桜の男根が硬さを増して熱を持った。
「俺の方が、抱かれてるよ」
ちょっとだけ振り返って、護に口付ける。
「護もちゃんと、俺の直桜って思いながら抱いてね」
護の男根が硬くなって、また勃った。
「勿論です、俺だけの神様」
返ってきた口付けは、いつもの何倍も熱くて、甘い。
きっと護と同じくらい、その台詞が好きだなと思いながら、護の唇を食んだ。
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