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第7話

 小敏は、フルーツやカラフルなキャンディやグミ、ゼリーで、クリスマス風にトッピングされたパンケーキと香ばしいトウモロコシ茶を注文した。  玄紀は、最初に言った通り抹茶パフェを頼んだ。 「煜瑾は?」 「う~ん…」  煜瑾は、アイスクリームとマシュマロでできた雪だるまが飾られたワッフルと、プチシュークリームを積んで作られたクリスマスツリーとで迷っていた。 「もう、両方頼んじゃえば?ボクが手伝ってあげるからさ~」  可愛らしい煜瑾の悩みを、小敏が一言で解決した。 「私も、手伝いますよ」  玄紀がそういうと、煜瑾も嬉しそうに笑った。  煜瑾はそれに熱い柚子茶を注文した。  しばらくは、他愛のない学生時代の思い出などをおしゃべりしていた。  煜瑾と玄紀は物心ついた頃からの幼馴染だったが、小学、中学まではそれぞれ別の私立学校に通っていた。高校に進学する時に、事情があって煜瑾が玄紀と同じ学校に転入し、そのクラスメートが小敏だったというわけだ。煜瑾と友達になるまで、1学年下の玄紀と小敏は顔見知りでさえなかった。  高校時代の楽しい思い出に、3人は大いに盛り上がった。  そこへクリスマスムードたっぷりのスイーツが次々と運ばれてきた。 「うわ~」「わ~」「は~」  3人は見た目の可愛さに歓声を上げ、それぞれスマホで写真を撮ったり、SNSに上げたりした。 「いただきま~す」  最初にデザート用のナイフとフォークを取ったのは、やはり小敏だった。  パンケーキを切ると、ふんわりと甘いバニラの香りが広がり、緩やかに湯気も上がった。 「美味しそうですね~」  にこやかに煜瑾が言うと、フッと気付いた玄紀が、自分の前にある抹茶パフェの上に乗っていたイチゴをスプーンに乗せて、当然のように煜瑾の前に差し出した。 「はい、どうぞ」 「ありがとう」  煜瑾も、なんの屈託もなく口を開いて、そのイチゴを食べた。  その無邪気な姿に、少し離れた席の女性グループから、悲鳴のような嬌声が聞こえた。 「なんか、あまりにも自然なんで、ビックリだよ」  小敏までもが微妙な表情でそう言うと、煜瑾と玄紀は不思議そうに顔を見合わせた。 「子供の頃から、煜瑾はイチゴが大好きだから、あげることにしているのですよ」  当り前のように玄紀が言うと、煜瑾もその通り、というように頷き、そんな仲良し幼馴染に小敏は改めて破顔するしかなかった。

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