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第27話
_にんじん、じゃがいも、たまねぎ。皮をむいてザクザクと切ります。ついでにお肉も切りましょう。そして、それら全てを炒めます!_
今日はロランの指示に従い、カレーという料理を作っている。それは以前、ロランがイーサンに教えてもらった料理である。
イーサンはロランの幼馴染だという。一時はロランを奪われる!と思い、オーウェンが最も警戒していた男だが、勝手な誤解であったこともわかった今は、ロランからイーサンの話を聞いても、ムカムカと嫉妬することはなくなった。
「カレーはパンかライスと一緒に食べるんです。すっごく美味しいので、オーウェンさんに食べて欲しいと思います!」
三連休の幕開けは、ウルキとのダンス大会でスタートしたが、それも終了し、やっとロランと二人だけの休日を過ごせていた。
そのロランが料理をふるまいたいと言い出した。だが、野菜の皮を剥き、カットし、そしてそれらを炒める...てことをするんだと聞いたら、危険行為が過ぎるだろ!と、なる。焦ったオーウェンは料理作りにSTOPをかけた。
包丁を使うこともだが、炒めるなんて油がハネてしまうので、もってのほか。そんな危険行為をするロランを見るなんて、ハラハラが止まらないのはわかりきっている。
そんなことさせられないと言うオーウェンに、ロランは全行程ひとりでやりたいと
また膨れてしまう。
「なんで!大丈夫ですって...もう…」
「ダメ。俺の気持ちも考えて欲しい。そんな危ないことさせられないだろ?」
「じゃあ、何も出来ないじゃないですか!」
「危険行為以外をやればいい」
と、料理をスタートさせるまで、ひと悶着あったがお互い妥協点を見つけ、何とか開始していた。
最初はオーウェンの作業工程である。ロランに指導されながら野菜を切り炒めた。
この後からロランにバトンタッチとなる。
沸騰した鍋に炒めた野菜を入れ、具材が柔らかくなるまで煮込む。今はその作業工程途中にある、野菜のアクを取るという作業中だ。
ぐつぐつと煮えている鍋のふちに濁った泡が浮かび上がってくる。この泡がアクというものなんだと、ロランが教えてくれた。
イーサンの料理指導で習ってきたんだと胸を張るロランが可愛らしくて、オーウェンは目を細めていた。
ロランがスイスイとそのアクを取っている中、今度は別の問題が勃発していた。
「コウ様には報告しなくちゃダメです。知ってますか?コウ様とマリカさんは、テレパシーの未来について考えているんです。そのためには、ちゃーんとお伝えしておかないと。ほら、テレパシーは未知な部分もあるって、コウ様がよく言ってるじゃないですか。テレパシー持ちの人と、持ってない人の間でも、こんなことがあるなんて、初めての発見ですからね」
アクをすくいながら、テレパシーマークについての話し合いが始まっていた。
オーウェンがテレパシーマークにキスをした時、ロランの肌がピリッとしたということ。それを、コウに報告する!と、言いだした。
オーウェンは、そんなこと言わなくていいとロランに伝えるも、なかなか首を縦に振ってはくれない。
テレパシーの未来のため、そしてその未来に向かい、テレパシーの発展に取り組んでいるのはコウである。慕っている主のためには、どんなことでも伝えたい。自分の経験から得たことは、主に伝えて貢献をしたいんだと言う。
「そうだけどさ...ロラン、どうやって伝えるんだよ。エッチしてる時に俺がマークにキスをするとピリッとするなんて、あいつらに言えるか?」
「エッチしてるなんて!ダ、ダ、ダメ!そんなことは言えない...です。うーっ…だけど、内緒にはしておけないし…コウ様にはもう内緒はダメなんです」
テレパシーの相手がウルキであることを言いだせずにいたロランは、あれ以来コウには何でも伝えなくちゃ!と思っているようだ。慕っているコウに対しての、ロランの忠誠心である。誠意を見せたい気持ちはわかる。わかるんだけど、どう伝えたらいいのかがわからない。
「それにな、マークがピリッとしてる時は、気持ちいい時なんだろ?そんなことも言えるか?」
ロランは火を止めて、カレールウというものをポチャンと鍋に入れていた。これで少しこのまま置いておけば、カレーとやらは完成するらしい。
「...気持ちよくなるのはマークにキスされた時だけど…でも、その、そういう行為に期待するからっていうか…だからだと思う。キスをされただけだとゾクゾクするだけだけど、オーウェンさんのそれ...入れるって想像したり…あそこに入れながら、マークにキスされるとそうなるんだもん」
真っ赤な顔をして、プーっと膨れた頬で大胆なことを告白された。たどたどしい口調だが言ってる内容は、かなりきわどい。
「いっ、入れてるから?もっと気持ちよくなるのかっ?詳しく!」
下半身がズクンと動き始めてしまう。言いにくそうにしている姿もいじらしくて、可愛らしくて、見ているだけでオーウェンの
下半身は大暴れである。プーっと膨れている頬を両手で持ち上げて視線を合わせる。
「うー...もう!はっきり言わないでください!あーどうしよう。なんて言えばいいんだろう」
プーっとロランはまだ膨れている。この頬に触れるのは幸せである。それに、大胆なことを言った恥ずかしさもあるようだから、更に顔が赤くなっていた。
ロランは照れくささから、カレールウを入れた鍋の底をぐるぐると撫でている。鍋からふわっとカレーのいい香りが立ち込めていた。
オーウェンは膨れているロランの頬をもう一度両手で包み込み、顔を持ち上げた。
「あははは、プーってなってる。俺、この顔好きだよ。かわいい」
膨れて尖っているロランの唇にちゅっとキスをした。唇が甘い。チョコレートの味がした。心当たりがある。
「カレーにはかくし味としてチョコレートを入れるんです!」
と、さっき言っていた。
ロランがチョコレートを持ってきていた。かくし味なので、チョコレートは少量を入れるようだが、いつどのタイミングで入れるのかわからない。
なので、さっきから二人でそのかくし味のチョコレートをポイポイつまんでいた。だからキスもチョコレートの味がしているんだと思う。
「甘い...」
もう一度ちゅっとキスをしてロランの唇をペロッと舐めた。やっぱりチョコレートの味だ。いくつ食べたのだろうか。
「私もっ!うーん、チュッ。オーウェンさんだって甘いよ?」
背伸びをしてロランがオーウェンにキスをして唇をペロッと舐めた。ズクンとまた下半身が動き出したと同時にロランを抱き寄せ、ジュッと離れない濃厚なキスをしてしまう。
キッチンコンロの前で、二人は抱きしめ合い身体を密着させた。懲りない大暴れ中の下半身が、ズボンを押し上げてくる。ズボンの中で育ったそれは、大きくなり過ぎて窮屈になっていく。
「もう...ぎゅってして欲しくなりますぅ」
ロランには股間が持ち上がり大きくなってことが、バレているのかもしれない。仕方ない、これだけは抑えられないんだ。
「ロラン、抱っこさせて?ダメ?」
「いい…ですけど...」
ロランを抱き上げるのが好きだ。抱き上げると、ロランは身体が離れないように腕を首に巻き付け、足を身体に絡ませてくる。そんなことをされるのも好きだ。
「お尻に当たってます。ムズムズしちゃう」
「ムズムズするって…どこが?」
つい最近二人はセックスをしたばかりなので、相手の気持ちいいところなんて、まだわからないことだらけである。
オーウェンは、毎回大興奮して何度も身体を求めてしまうのが、反省点でもある。
ムズムズするなんて、ロランの口から初めて聞く。硬く上を向くものが当たるというロランは、居心地が悪いのか、それとも、ムズムズするからなのか、尻を左右に揺らしている。
「このままベッド行ってもいい?カレーはちょっと置いておくのがいいんだろ?」
左右に揺れていたロランの尻を鷲掴みにし、オーウェンは股間を押し付けた。鼻息も自然に荒くなってしまう。
「えっ…ふふ、そうですね」
クスクスって笑い、顔をオーウェンの肩に埋めている。笑っている振動が身体を通して伝わってくる。
顔を上げて?と囁いた声に、ロランはクスクスとまた笑い、頭をフリフリさせて拒んでいる。恥ずかしそうにしている顔を見たくなり、また股間を反応させてしまう。
「ちゃんと火を止めたのは確認したよ?カレーはもうちょっとここに置いといて、美味しくなってもらおうか」
「ふふふ…そうですね、美味しくなればいいなぁ。あ、でもカレーはお昼ご飯だよ?夕方より前には食べますからね」
「善処します…」
このままセックスにもつれ込むことになるから、あまりやりすぎるなと言うことだろうか。
クスクスと楽しそうに笑うロランをベッドにトサっと落とし、上から覆い被さった。
キスをすると相変わらずチョコレートの味がした。
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