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【番外編】柳準太のお悩み相談室
「八雲さんがふつうに風呂に入らせてくれない」
「帰れ」
放課後、聞いてほしいことがあると柳を誘って学校近くのハンバーガーショップへ来た。
セットで注文して、コーラを一口飲んだところで切り出したら優しさの欠片もない一言で一蹴。
「なんで!」
「どうせノロケ話になるやつだろそれ」
「惚気じゃないし……」
兄ちゃんに相談しようかとも思ったけど、ブラコンで八雲さんとは親友で(本人たちは悪友って言ってる)、こういう話でまともなアドバイスをもらった記憶が残念ながらない。
矢吹さんや立花さんは論外。
だから柳しかいないんだってことをなんとか伝えた。
「はあー……わかったよ聞いてやるよ」
今すぐ帰りたいオーラを全面的に出されたけど、なんだかんだ話を聞いてくれるのが柳。
ありがとう柳と心の中でめちゃめちゃお礼を言う。
「八雲さんちでお風呂入るじゃん」
「はあ、まあ」
「最近オレが入ってる時に突然来ることがあって」
「あ、そう」
「そうするとさ、ほら……」
「ちちくりあってんだろ?」
「言い方がオヤジくさい」
「八雲さんがえっちなイタズラしてきてゆっくりできないって言い直す?」
「ちちくりあってます!もう!もう少し真面目に聞いてくれてもいいじゃん」
「100パーノロケ話ってわかってるのに真面目にできるかよ……」
「だから惚気じゃない」
「世間はそういうのをバカップルって呼ぶんだよ」
「八雲さんはバカじゃない」
「そういうところなんだわ」
もう今は何を言ってもあーだこーだ言い返されるのがオチだと悟って、いつの間にか前のめりになってた体勢をそっと戻す。
八雲さんのことになるとつい全身に力が入っちゃう。
「てかさ」
柳はハンバーガーをもしゃもしゃ食べながらジト目で見つめて。
なんだよと身構えながら、オレはポテトフライを口に運ぶ。
「カギすりゃいいんじゃねーの?」
▽4月26日:お風呂の日
カギの存在に初めて気付く南。
後日、「カギ閉めないから入っていいんだと思っていた」と供述する本田八雲が見かけられた。
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