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セーラー服と学園祭 +
「1日寝込んでたんだって?大丈夫?」
本当に心配してそうに眉を少し下げた八雲さんが頭を撫でる。
げっそりしてたけど、八雲さんが心配してくれてだいぶ心を持ち直した。
3日間の学園祭が終わって、今日は振り替えで学校は休み。
1日寝込んでた月曜日は後片付けの日だったから、授業はなかった。
つまり、今日は火曜日でお昼前から八雲さんの部屋に来てる。
「八雲さん、あのセーラー服なんですけど…」
あの後脱がされたセーラー服は、八雲さんが持ち帰ってくれた。
ちゃんと汚れが落ちたのか、はらはらして全然落ち着かない。
「ああ、洗ったあと念のためクリーニング出したけど…まずかった?」
「まずくないです、全然!ありがとうございます」
クリーニングに出してくれてたなんて、さすがとしか言えない。
とにかく、セーラー服を見ていかがわしいことをしたとは思わないかな…。
「あの…オレが着てたセーラー服なんですけど…」
「うん?」
「なんて言えばいいのか…」
実はあの制服は柳のお姉さんのものでした、とはなかなか言えなくてもごついてたら、八雲さんがおかしそうに笑い始めた。
「ごめんごめん。あれ、柳のお姉さんのだろ?知ってるから大丈夫」
「え!?知ってて…あんな…あんなこと…!」
オレはあれが柳のお姉さんの制服だって知ってたら、絶対、あそこまでえっちなことしなかったし絶対自制してた…と、思う。
いや、なんだかんだ八雲さんに流されるのがオチだろうけど、少なくとももっと抵抗した。
何も知らずにあれを着たままあんあん言ってた自分が本当に恥ずかしい。
「もしかして、それで寝込んじゃってた?」
「そうですよ…罪悪感すごいじゃないですか…」
「あー…」
なぜか歯切れの悪い返事をした八雲さんは、ちょっとの間黙ったあと「落ち着いて聞いてほしいんだけど」っていう意味深な前置きをした。
「あれ、実は柳から聞いてて知ってたんだよね」
「え?」
八雲さん曰く。
柳が学園祭で男子が女装することになったから、制服を貸してくれってお姉さんにお願いしたところ「南くんが着るなら貸してやってもいい」という返事をもらったらしい。
そして、写真を撮ってこいと。
だからあの時写真を撮られたのか…。
いや、そうじゃなくてオレの女装見られてるってことだよねそれって!
「柳からその話と、学祭のあと好きにしてもいいからって連絡きて」
「なっ…!」
ぶわぶわっと全身が一気に熱くなって、汗もすごい出てきた。
八雲さんも柳も、最初からわかってたんだ…恥ずかしいにもほどがある。
「騙してたわけじゃないんだけど……ごめんな?」
なんて、困った笑い顔で謝られたら、許すしかない。
「今日、いじわるしなかったら、許します」
「お前ほんと可愛いのな……今日はいっぱい優しくしてあげる」
ちゅ、と唇に優しいキスをして、オレを横抱き…いわゆるお姫様抱っこをして八雲さんのベッドに降ろされる。
その日は本当に優しくて甘くて、お互いいつもより「好き」って言う回数が多かった。
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