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酩酊珍道中 9

夕食の後、広縁に座って今日あった事を思い出していた。 自分でも驚くぐらいあの金髪の少年にイライラしてたみたいで、なんですぐ旅館に戻らなかったのか、夏の事もあったし旅行に来ても1人残すべきじゃなかった。 それにあの金髪、絶対に南をそういう目で見てた。 あのまま戻るのが少し遅れてたらと思うと…背筋が凍る。 相当な殺意で金髪を牽制したけど、ものともしないで受け流された。 こういう時につっかかってこない人や怯まない人は、俺の経験上かなりの危険人物。 あろうことか、俺のことも品定めをするような目を向けられた。 久しぶりに嫌悪を全身で感じて、1秒でも早くここから離れるべきだって本能が訴えた。 思いのほかあっさり帰ってくれたからよかったものの、もう30秒でもあそこにいたら危なかったと思う。 それにしても、南は本当に危ない。 危機察知能力は鈍くないんだけど、人を惹きつける力が最近増してきた。 まあ間違いなく俺のせいなんだけど…子どもっぽいなかにえろさがあるから、寄ってくる人は寄ってくる。 南に魅力があるのはいいことではあるけど、その魅力を他人にまで感じさせたくない自分も確かにいる。 要するに嫉妬。 この先も南が人を惹きつけるなら、いっそのこと自分の部屋に鎖で繋いで閉じ込めておきたいとさえ考えてしまう。 そんなことは無理に決まってるから、結局は俺が用心深くなるしかないんだけど。 そんなことを考えてたら、ぱかぱかと日本酒を飲み続けてたみたいで自覚があるほど酔った。 トイレに行こうと立ち上がったら視界が揺らいで、落ち着くまで歩けない。 自分ではアルコール耐性そこそこあると思ってたから、こんなに酔うことは滅多になくてさすがに驚いた。 南のことになると、本当にいろいろ自制が効かない。 ふらつく足取りでトイレに行き、戻ってきたらすやすやと気持ちよさそうに眠る南が視界に入った。 無防備な寝姿が相変わらず可愛いと思うと同時に、上せていたとはいえ簡単に触られてしまったことが無性に嫌になってきて。 今すぐ、南に触れたくなった。 寝てる南の傍まで来て、少し寝顔を伺う。 時折小さく声を漏らしてるから、なにか夢を見てるみたいだ。 今日あった事なんてなかったかのような、穏やかで幸せそうな寝顔で安心したような、少し腑に落ちないような。 「南は、俺のものだから」 なんて、本気で思ってるあたり南病末期。 頰を撫でても起きる気配がなくて、胸の奥で渦巻いてた黒いものがふわふわと浮く感覚がした。 南に顔を近づけて、唇をぺろっと舐めて起きないことを確認する。 南の座ってる椅子の僅かなスペースに片膝を置き、背もたれには手をついて身体ごと近づけさせる。 俯いて寝てる南の顎に手をかけて、キスしやすいようにくいっと上を向かせた。 「起きたらお仕置きするから、今は優しくしてあげる」 まずは唇を合わせるだけのキスを、1回。 すぐ顔を離して、また近づけて、何回かキスをする。 もし起きてたら、物欲しげな顔で俺のことを見つめてくる頃。 その表情も好きだけど、どこまでしたら起きるんだろうっていう単純な好奇心が芽生えてきた。 今度は少し角度をつけて、俺の好きな喰むようなキスを2度3度として。 マシュマロみたいに柔らかいから、気持ちよくて何度も何度も何度も喰みたくなる。 「ん……」 ここで南の声が少し漏れて、まつ毛が一瞬ぴくんと揺れた。 その反応が可愛くて、もっともっとって柔らかい嗜虐心がふつふつ芽生えてきて。 舌を差し込んで、南のを絡めとる。 寝てるから俺の動きに合わせることはなかったけど、それはそれでいつもより味わうことができた。 「ん…みなみ…」 舌の動きもだんだん大きくなって、口内を蹂躙するとはまさにこのことだと思うぐらい、好き勝手に侵していく。 南の呼吸も少しずつ荒くなっていき、寝てても感じてくれてるんだと思ったら興奮してきて。 子どもが棒付きキャンディーに夢中になるように、頭を空っぽにさせて貪りついた。 どれぐらいそうしていたのかわからないぐらい夢中になってたら、胸をとんとん叩かれてることに気がついた。 そこからは意識のある南とキスをして、俺の飲んでた日本酒で酔う姿を堪能した。 酔った南は俺が時間をかけて落としてデレさせなくても、すぐに甘えてくるらしい。 これは人前でお酒を飲ませないように後で言っておく必要がある。 いつも通り南の好きな耳元で囁けば、ぴくんっと身体を小さく跳ねさせて。 「今ので感じちゃった?」って聞けば、恥ずかしそうに頷いた。 アルコールが入ると本当に素直な甘えたになるらしい。俺の言うことすることすべてに喜びそうな南に、思わず「へぇ…」と感嘆詞が漏れる。 そうとなれば、絶好のお仕置き日和だ。 なんだかんだ南が可愛くていつも甘やかしてばっかりだったけど、あの金髪に対する嫉妬心はまだ消えてない。 南を抱えて布団の上に降ろし、浴衣の帯で目隠しをする。 「や、だ…八雲さん!」 今まで拘束とか目隠しはまったくしてこなかったから、南が不安がるのも無理はない。 だけど、あんな簡単に見知らぬ他人から簡単に触られてしまう南は、もっと自覚をしてほしい。 それに、ちゃんと南が誰のものなのかも。 「今日は、南にお仕置きするから」 南の喉がひくっと鳴ったのを見て、俺を繋ぎとめてた紐は切れ、スイッチが押された。

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