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酩酊珍道中 13
貸し切りの露天風呂は景観がよくて、和風庭園がライトアップされててすごく綺麗。
隣にいる南なんか目を輝かせちゃって可愛い。
まだ頭痛はするものの、さっきに比べたら酔いは醒めてきた。
酔っていたとはいえ、南にあんな痛いことをするなんて今じゃ少し信じられない気分だ。
南のことは可愛がって甘やかしてとろとろにさせてあげたいって思ってたのに、目隠ししたり鬱血するぐらい手首を強く縛ったり…南のいる前で酔うと何をするかわからないから、今後は嗜み程度に抑えておこう。
もし次にあの金髪と会う機会があれば、最大級の牽制をしてとにかく南と引き離す。
さっきまで南の裸を見ていたのに、隠すように服を脱いで腰にはタオルを巻くいていて、相変わらずいじらしい。
俺も南に倣って服を脱いで、一応タオルも巻く。
イスを2つ縦に並べて後ろに八雲さんが、その膝の間に収まるようなかんじでオレが座った。
「洗ってあげる」
「いや、あの…大丈夫です、洗えます」
「俺が洗ってあげたいから。ね?」
この有無を言わさない笑顔が優しい八雲さんとのギャップになって、いつもドキドキさせられる。
「はい…」
「いい子」
さっきまでの八雲さんとは打って変わって、すごく優しい声で言われて心臓がドキっとする。
オレ、やっぱりこういう優しくて甘くされるのが一番好きだ…。
素手でボディソープを泡だててる八雲さんを見て、これから洗われるんだと緊張する。
想像するだけでもう勃ちそう…バレないうちにさくっと洗ってほしい。
そんなオレの願いとは裏腹に、まず肩から腕を懇切丁寧に洗い始めた。
「っ」
いつもと違ったもどかしい感覚に、声が漏れそうになるのを抑える。
肩の周りを手が通るとくすぐったくて、でも手つきはすこしえろくて、声をガマンするのに身体がぷるぷる震えてきた。
「南、きもちい?」
どういう意味の気持ちいなんだろうと頭で一瞬悩んだけど、この悩む時間さえ八雲さんにとってはきっと楽しいもので。
ここは素直に思ったことを言うのが正解と思ったオレは、堅く結んでた口を開いた。
「きもちい、です…」
「はあ…可愛い」
後ろから首筋にちゅ、ちゅとキスをされてすごくくすぐったい。
こうやってゆっくりじゃれてると、まさに至福の時って思える。
「手首は最後、お湯で流すだけにするから」
こういう細かな気づかいも、大好き。
愛されてるなって思う。
「南の身体のライン、無駄がなくて綺麗で…」
「んっ…」
「背中もすべすべでハリがあって、ずっと触っていられる」
「ひあっ!?」
つつつ、と指でなぞられてガマンしてた声が出た。
「やっと可愛い声が聴けた」
オレの高い声に気をよくしたのか、やらしい手つきで背中を洗い始める。
緩急つけられて、背中だけで感じちゃう。
「ぁ…八雲さん、ふつうで…大丈夫だからぁ…!」
「南が敏感すぎるんだよ…えろい身体」
「んやぁ…!」
背中を洗ってた…いや、撫でてた手がするりと乳首を掠める。
少し掠っただけなのにすごい高い声が出て、恥ずかしくて俯く。
「温泉だからいつもより声が響くね」
「っ!?だ、だめ…!」
八雲さんが背後で笑ったのがわかって、不安と恥ずかしさと期待でふるりと身体が震えた。
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