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ワンナイト・ヴァンパイア 5
たどたどしく、だけどしっかりとした手つきで南俺の服のボタンを外していく。
だいたい自分から脱ぐことが多いから、こうやって脱がせてもらえるのは珍しいし、絵面も新鮮なえろさがあっていい。
「……はずれた」
声を弾ませ、うっとりした瞳で上半身を見つめる。
その視線にぞくっとして、身体の芯からきゅっとした。
今までにない感覚が全身に広がって、俺は少し驚く。
きっと、南はいつもこんな感じなんだろうなと思う。
たまには悪くないけど、俺は南にこういう感じにさせてあげたい。
「八雲さんの筋肉、好きです」
俺の腹筋をなぞるように指を滑らせ、へそと胸の下を往復する。
「っ、」
むずがゆくて、肩がぴくっと跳ねた。
それに気をよくしたのか、にやっと笑ってやらしい手つきで上半身を弄られる。
普段あんまり見せない雄っぽい表情が心臓に悪い。
いつもとろとろで可愛らしいのに、今日は小悪魔さが強い。
今まで隠してた本性が現れたような感じ。
南の指が動くたびにぴくっと反応してしまうのが、何故か少し恥ずかしい。
こうして求められるのはすごく嬉しいけど、その分早く南に触れたいっていう気持ちが大きくなる。
「さわりたい?」
そんな俺の心情を察したのか、大きな目を細めてくすっと笑った。
えろい。
すごくえろい。
可愛くてとろとろになるえろさとは違って、南が意図的に誘惑してくるから、そろそろキャパオーバーしそうだ。
「もちろん、さわりたい」
「ふふ…八雲さんだけですよ」
こうやって俺だけが特別なんだって、実際に南の口か行ってくれるのはいつだって嬉しい。
「まってて」
南の服に手をかけようとしたら、やんわりと手を重ねられた。
ゆっくりと手を下げられて、南はそのままセーターを脱ぎ始める。
自分から服を脱いでくれる姿に興奮しないはずがない。
動きがスローモーションに見えて、無意識に生唾を飲み込む。
「えろ……」
「これも、八雲さんだけ」
「全部、俺だけでしょ?」
「ん…そう、ぜんぶ…」
さっきまでグイグイきてたくせに、頬を赤らめて恥ずかしがる変わりようにいい加減爆発しそうになる。
よく俺の頭と理性と下半身が暴発せずにいられているな、と逆に冷静になってしまった。
脱いだセーターを簡単に畳んで脇に置くあたりが、南の性格の良さが垣間見えて愛しい。
ワイシャツのボタンに手をかけて、上からひとつずつ外す。
俺を焦らすかのように動きがゆっくりで、興奮が最高潮になっていく。
外れていくたびに見える肌が増える。
腹ペコの犬が餌を目の前に「待て」をされているかのような気分になって、今すぐ飛びつきたい自分と戦う。
はらりとワイシャツがだんだん開かれていくなか、桃色の突起がちらりと姿を現した。
そこはすでにぷっくりとしていて、頭と理性と下半身との闘いにあっさり負けるには十分すぎる光景で。
「お前、俺のこと煽りすぎ」
「ん、っ!」
歯をたてて噛み付くようなキスをして、親指でぷっくりしている突起を弾く。
「~~っ」
声にならない嬌声をあげて、喉を仰け反らせた。
小さく身体を震わせて快感に耐える。
「だめっ、オレが自分で…やぁっ…!」
もう完全に頭に血が上ってしまって、南がなんて言っているのか理解ができなかった。
きっと自分でやるって言ったのにっていう抗議の声をあげているんだろうけど、そんなの、もうどうでもいい。
「時間切れ」
「んっ……ふ…っ…」
くるくる撫でまわしたり、急に弾いたり、少し引っ張ってみたり。
いろんな緩急をつけて攻めるたび、甘い吐息と声が漏れる。
「も、ぁっ……」
「煽られた分、いっぱいイって」
「はっ…ぁ、んん――っ!」
がくっと身体が沈んで、早々に南が達した。
さっきまでの南はどこへやら、あっという間にいつものとろとろなカオに戻る。
肺に酸素を取り込もうとするたびに汗ばんだ胸が上下に動いて、いやらしいにも程がある。
「吸血鬼になっても、えろくてやらしくて、最高に可愛いよ」
「っ、ばかぁ…!」
ずっと後ろめたさがあったのか、堰が切れたかのようにぽろぽろと透明な涙を流し始める。
吸血鬼になっても心は白く純粋で、ずっとそのままでいてほしいと素直に思った。
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