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【番外編】ぷにぷにして、ずぶずぶと

いいニーハイの日なんて、いったいどこの誰が言い始めたんだろう。 ただの語呂合わせなのはわかるんだけど、記念日だからといって被害を受ける人間がいるってことを知っておいてほしい。 「その靴下めちゃくちゃ見覚えあるんですけど…」 「こればかりは矢吹に感謝しかない」 「いや、あの…履きません…」 「うん。って言うと思ったから、今日はずるいことさせて」 ずるいことってなんですか? っていう言葉が声になる前に、八雲さんに唇を塞がれた。 あ、ヤバイと思ったときにはもう遅くて、キスであっという間にとろとろにされる。 「ん……ふぅ……っ」 くちゅ、くちゅといやらしい音が脳内に響いて、八雲さんに翻弄されていく。 ニーハイは履きたくないけど八雲さんとのキスはやっぱり気持ちよくて、もう好きにしてくれって気持ちになっちゃう。 ベルトを慣れた手つきで外され、スラックスをするすると脱がされて。 去年と同じニーハイを穿かされる。 「はあ…すごく可愛い」 「あんまり、じっと見ないでください…」 熱っぽい視線をオレに向けてくれるのが嬉しいけど、全然慣れなくていつも心臓はバクバクして、すごく恥ずかしい。 「それは無理なお願いかな」 そうですか、それなら仕方ないですね、と思わず言ってしまいそうになるのを堪える。 八雲さんのお願いでも、恥ずかしいものは恥ずかしい。 八雲さんはオレの顔を見ながら、ニーハイのゴムにのった太ももを指で撫でてきて。 「んっ……」 「ここ、ぷにぷにしてて気持ちいい」 「ゃ…くすぐったい」 手から逃れるように脚を引けばくすっと笑われるし、けっきょく何をしても八雲さんのほうが上手。 「南は肌が綺麗だね」 「ぁっ…」 「すべすべで、色白で」 「ん……」 「手のひらに吸い付いてくるかんじ」 「あ、あの…!」 すりすりとちょっとやらしい手つきで撫でられて、耳元でこんなこと言われて、勃たないわけがないのに…。 わかっててやってるところが本当にずるい。 太ももだけじゃなくて、もっと、もっといろんなところを触ってほしい。 「ほら、南は俺に何をしてほしいの?」 もう、ダメ。 オレは今日も八雲さんにずぶずぶと溺れていく。 ▽11月28日:いいニーハイの日 1年間、矢吹からもらったニーハイを捨てないでとっておいたそうです。

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