172 / 238
それでもずっと 1
明日、11月7日は南の17歳の誕生日だ。
残念ながらその日は平日だから、夜通し可愛がってあげることはできない。
それに、家族も南のことをお祝いしてあげたいはずだから、明日は家族で過ごしたほうがいいとあらかじめ言っておいてある。
ちょっと残念そうな顔をしてたけど、家族思いの南は過去の誕生日パーティーの話を楽しそうにしてくれた。
誕生日を一緒に過ごせない代わりに、週末は出かけるから空けておいてもらった。
どこに行くかはまだ秘密にしてある。
週末のことを考えていたら、あっという間に今日が終わろうとしていた。
南より俺のほうが楽しみにしているかもしれない。
スマホを持って、南とのトーク画面を開く。
もちろん、日付けが変わった瞬間におめでとうのメッセージを送るため。
俺は長い文章を送るより、その分南の目を見た直接言いたいって思うタイプだから、送る内容はシンプル。
『誕生日おめでとう』
『そして、生まれてきてくれてありがとう』
これだけ。
時計をチラチラ確認しながら、0時になった瞬間に送信ボタンをタップ。
ものの数秒で既読がついて、たまらなく愛おしくてつい笑ってしまう。
『ありがとうございます!』
『週末楽しみにしてますね』
メッセージと一緒に送られてきたのは、嬉しそうに踊るキャラクターのスタンプ。
それに、南の誕生日に俺のことを話そうって決めてたから、ひとつのけじめでもある。
南は空気を読むのが上手だから、何回も俺に聞きたそうな顔をしているのを敢えて無視してきた。
あの夏祭りの一件もあったし、もういい加減に言わないといけない。
それに、今ならどんな俺でも南が好きでいてくれるって思える。姉さんとも鉢合わせしちゃったし。
その週は、少しの緊張と興奮で寝つきが若干悪かった。
ともだちにシェアしよう!