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それでもずっと 2
日付けが変わった瞬間に届いたメッセージ。
いちいち確認しなくても八雲さんからだっていうのはわかるのに、画面に表示される名前と内容をついつい見ちゃう。
嬉しくなってスクショしたのは内緒にしておこう。
八雲さんのメッセージはいつもシンプルで、すごく伝わりやすい。
あんまり返信内容を考えずにぽんってすぐ送れる。
前から、オレの誕生日は平日だし家族と過ごしてほしいって八雲さんに言われてた。その代わり、週末は2人で出かけようって。
そういう優しさがあるところが、本当に大好き。
どこに行くか、何をするかは当日までお楽しみらしい。
時間と待ち合わせ場所だけ教えてもらってる。
柳や他のクラスメイト、矢吹さんに立花さん、それから銅さんも誕生日おめでとうのメッセージをくれた。
すごい嬉しくて、いつもより寝るのが遅くなっちゃうけどひとつひとつ返信してから眠った。
その日、学校では柳と他によく話す友だちが、袋いっぱいのお菓子の詰め合わせをくれた。
男子高校生ってちょっと高価なものを貰うより、こういうお菓子の詰め合わせのほうが嬉しかったり。
家に帰れば、誕生日に合わせて仕事の休みをもぎ取った父さんと母さん、それに兄ちゃんがパーティー用のクラッカーを鳴らしてお出迎え。
「誕生日おめでとう」
「父さん、それ朝も聞いたよ」
「可愛い息子の誕生日に冷めたこと言わないでくれよ」
うちの家族は本当に仲がいいと思う。
こうして誰かの誕生日のときには、家族総出でお祝い。
ケーキはいつも母さんの手作り。
母さんが誕生日の時は、男3人でケーキとプレゼントを探しに出かける。
豪華な夕飯にケーキをたらふく食べて、家族からプレゼントをもらった。
父さんと母さんからはスニーカー、兄ちゃんからはクマの着ぐるみパジャマ。
「ねえ、待って、嘘でしょ?」
「お前週末八雲と出かけるんだろ?それ着て行けば喜ぶよ、絶対」
「信じらんない」
「まあ週末じゃなくてもいいよ、着るのは」
「絶対着ねーよ!」
「はるくんがそんな頑なに拒否るなら?八雲に俺があげたプレゼント言っちゃうけど?」
兄ちゃんはオレをからかうときは、決まって「はるくん」と呼ぶ。
もう、意地悪い笑い方がバカにされてる感じがして少しムッとする。
「言えば?絶対着ないから」
「俺はなんだかんだ着るほうに賭ける」
結局、約束の前日まで着る着ない問答は続いた。
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