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それでもずっと 6
八雲さんが当然のようにコンドームの橋を口に咥えて、ぴっと袋を破った。
オレがそういうのに弱いって知ってるから、見せつけてくる。悔しいけどかっこいい。好き。
慣れた手つきで自分のに付けている姿を見て、少し複雑な気持ちになる。
いつまで引きずるんだよって自分でも思うけど、どうしても過去抱いたであろう女の人を想像してしまう。
そして、それはいつもバレる。
「ばーか。そんな顔すんなって」
「頭ではわかってるんですよ、ほんと……」
「まあ、不安とか溜め込むよりかはそうやって顔に出してくれる方が嬉しいよ」
「……どんなに隠してもすぐバレる」
「南マスターだからね、俺」
「なにそれ」
少しでも不安な気持ちになったら、八雲さんはこうやってすぐ和ませてくれる。
オレのこと大好きだなーって思うし、オレもちょろい。
八雲さんはもう1つ同じやり方で袋を破って、ゴムを取り出す。
顔の横でぷらぷらと揺らして、意地悪笑顔を咲かせた。
「付けてほしい?」
「……なんでいちいち聞くんですか」
「ちょっとした意地悪」
「趣味悪い!」
でも嫌いじゃない!
どうせ八雲さんは全部わかってるんだ。でも付けて欲しいって素直に「うん」って言うのはなんだか癪。
ぷらぷら揺らしてるゴムを引ったくって、自分の手中に収める。
少し目を丸くして驚いてる顔を見たら少し満足した。
「自分でやるから、八雲さんはそこで指をくわえて見てて」
「お前……もう、たまんない」
顎をくいっと出して、早くしてみろと言わんばかりに逆に煽られる。
なんか、変なところで対抗心が出てきた。
八雲さんにぎゃふんと言わせてやる。
と、啖呵を切ったのはいいものの、ぶっちゃけ自分で付けた回数はかなり少ない。
なぜならいつも八雲さんがやってくれてたから。
ひんひん泣かされてる間に見たことはあるけど、その時のオレは頭がバカになってるから、思い出そうとしても靄がかかったみたいになる。
チラっと八雲さんを窺えば、早くしろよと言わんばかりににやっと笑われた。
「やっぱり俺に付けてほしくなっちゃった?」
「結構です!」
「それは残念」
今さら「うん」とか言えなくて、つい反射的に言葉が出た。
こうなったら、なにがなんでも自分で付けるしかない。
付けるだけ、付けるだけと心の中で唱えるほど八雲そんを意識してしまう。
じっとり見つめられてるのをひしひしと感じて、ぴくっと反応してしまうのが恥ずかしすぎる。
なんだか緊張もしてきて、震える手でガチガチにはってるそこに当てて、少しずつ奥へ進める。
「んっ……はぁ……」
ただ付けるだけなのに、ゴムの締め付けに感じちゃって声が漏れる。
こんなことで声なんか出したくないのに…。
「えろすぎ……」
返事をする余裕なんかなくて、とにかく早く終わらせてしまいたい一心。
「くふくふ」と声をなんとか我慢して、装着が終わった頃にはくたくたになった。
「おわった……」
「お前、どんどんえろくなっていくのはなんでなの?」
八雲さんを相当焦らすことができたみたい。
久しぶりに余裕がない、ギラついた瞳に見つめられて心臓がぎゅっとした。
「ねえ、俺のさわって」
熱っぽい声を耳元で囁かれて、麻薬みたいに全身を流れていく。
八雲さんの手もオレのに伸びてきた。
「八雲さんのあつい…」
「お前、ちょっと黙ってて」
オレたちは少しの間、お互いの体温を感じながら熱い吐息を漏らし合った。
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