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それでもずっと 15

南に言いたかったこと、それから見せたかったもの全部伝えられてよかったと思う。 あまりいい話じゃないし、南に余計な心配をさせたくなくてずっと触れてこなかったけど、そんなの俺の杞憂だった。 南はずっと真剣に聞かされたし、そのうえで「それでもずっと好きです」って言われた時には、珍しく涙が出そうになったほどだ。 こんなことならさっさと打ち明けておけばよかったと後悔してるぐらい。 案ずるより産むが易しってやつだ。 しばらく南と星空を眺めていたんだけど、南がくしゃみをしたから風邪をひかせないうちに今は家に戻ってきている。 家に入ったらちょうど秋葉さんがいて、いつでも風呂に入れると伝えてくれたから先に南を行かせた。 「お風呂いただきいました」 ほかほかで浴衣に着替えてきた南がお風呂から戻ってきて。 湯上りの南は白い肌がほんのり赤く色づいて、正直それだけで欲情してしまう。 ずっと見てると目に毒だし、なによりシャンプーの香りが俺の理性を不安定にさせる。 今すぐ南を抱きしめて、頭をなでて、キスをして、それから――。 「八雲さん?」 南に名前を呼ばれて、はっと我にかえる。 いけない、想像で南のことを押し倒すところだった。 ぐずぐずに甘やかすのは、まだもう少し我慢。 「なんでもないよ。俺も風呂入ってくる」 「ゆっくりあったまってきてください」 南が俺が使ってた部屋で待ってるって考えたら、気持ちがはやってゆっくりできるわけがなかった。 風呂からあがって部屋に戻ってきたら、南がそわそわとさせてベッドの端っこにちょこんと座って待ってて。 なにそれ、俺のことをそういう意味で待ってたってことでいいの? 南の隣座ったらあからさまにびくっと反応されて、下を向いて恥じらう。 「ねえ…なんでそんな可愛いことするの」 「全然そういうつもりじゃ…」 「でも明らかに俺のこと意識してるよね?」 「ちょっと、八雲さんのことを考えてたけです」 「あのさ、それを可愛いって言うんだけど」 頭を撫でるか、キスをするか、抱きしめるか、それとももう押し倒すか…どうしようか逡巡させてたら、南のほうからゆっくり近づいてきて。 「んっ…」 キスをしてきて、俺がベッドに押し倒された。 「すごい、積極的」 「今日は、オレが、します」 顔を真っ赤にさせて、声と手は少し震えて、頑張ってくれてるのが伝わる。 こういうことをされるから愛おしくて、どうしようもなく心がかき乱されて、ますます好きになる。 顔の横に手を置いて、跨るように覆いかぶさって。 これからなにをしてくれるのかという期待と、やっぱり自分が主導権を握ってぐずぐずにさせたい気持ちが戦ってる。 とりあえず、南のされるがままに任せてみようと思う。 不慣れなのに頑張ってくれてる姿を見るのも好きだ。 「ドキドキしちゃう」 「そんなこと言って、実は余裕なくせに…」 「これでも、余裕だって思う?」 南の片手を優しくとって、俺の心臓の上に置かせる。 大好きで可愛い恋人に押し倒されてるんだから、ドキドキしないはずがない。 「ほんとだ…ふふっ、オレと一緒」 安心したようにふにゃりと笑って、今度は俺の手をとって南の心臓の上に誘導される。 音が聴こえてきそうなぐらいドキドキしてて、心音すら尊い。 「ねえ…南のこと、好きすぎて困るんだけど」 「いや、たぶんオレのほうが好きすぎてすっごい困ってます」 「それじゃあ、すっごい困ってる南はなにをしてくれるの?」 南は少しだけむくれてから、まだまだ拙い深いキスをしてきた。

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