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それでもずっと 20

優しくしてって懇願したあと、八雲さんはめちゃくちゃ丁寧に後ろをほぐしてくれた。 くれたんだけど、その優しい快感が逆に辛かった。 こう、じわっと、ゆっくり少しずつ攻め立てられるかんじ…。 声をガマンしなきゃいけないこともあって、いつもより疲れた。 「みなみ、いれるよ」 「ま、て……ちょっと、やすみたい……」 「まってたら朝になりそうだから、だめ」 「っ、ぁ!」 張り詰めた八雲さんの先っぽがあてがわれて、ゆっくりオレのナカに入ってきた。 もうすっかり八雲さんのカタチを覚えたから、そのままずぷぷと奥まで進んでくる。 「ぁ、はあっ…」 「いい子…そのまま、力抜いてて」 頷くことしかできなくて首を縦に振ったら、八雲さんがくすっと笑った。 オレの手のひらに八雲さんの手が重なって、指を絡めて握る。 八雲さんと触れ合ってるところは、多ければ多いほど幸せ。 もっとぎゅっと、離れてるところがないぐらいくっついていたいけど、恥ずかしいからまだ言ったことはない。 言ったら喜んでやってくれるんだろうけど……来年の誕生日で、お願いしてみようかなってぼんやりと考えた。 「また、考え事?」 「ひゃうっ」 ぐりっと、奥までばちゅんと一突き。 それだけで頭が真っ白になって、オレは軽くイった。 「あっ、あ――!」 「ね、なに考えてた?」 「まって、んっ…ん〜!」 なに考えたって聞いてくるくせに、腰の動きは全然止めてくれない。 話そうと口を開いても、けっきょく甘い声しか出せなくてしゃべらせてくれないんだ、知ってた。 そんなもどかしそうにしてるオレを見るのが好きな八雲さんは、正真正銘のドS。 悔しいけど、八雲さんがいいならオッケー。やっぱり甘い。 「あんっ、あっ、こえ、でちゃう…!」 オレの集中力と理性も限界に近づいて、もうどうでもよくなりそうで怖い。 この声が聞こえてたらって思うと、気が気じゃない。 「我慢できない?」 「むり、もう、むり…」 「あは…かわいい」 「ん…ふぅ…」 オレの声だけじゃなくて、全部を吸い取るかのように深いキスをされる。 ねっとり、舌の付け根から丁寧になぞられて、八雲さんの中に入り込んでしまいそうな錯覚になる。 オレのことを気づかって、腰の動きはゆっくりめ。 だけど、ねちっこい攻められ方がたまらなく気持ちよくて、訳わかんなくなって涙が止まらない。 「気持ちいいと涙が出ちゃうの、かわいい」 「は、ぁ…ん…」 「明日、目腫れたらしっかり冷やそう」 はあ、ずるい。 明日のオレのことを今心配してくれてる。優しさの権化。 八雲さんより優しい人をオレは知らないし、もし心当たりがあるならぜひ紹介してほしい。 でも、絶対八雲さんには勝てないからやっぱりいいや。 八雲さんから発せられる声や息が、身体の奥深くまで響いて心地いい。 包んで包まれて、最高に幸せ。 「やくもさん、」 「ん…はあ…なに?」 「オレ、いま、すっごいしあわせ」 この気持ちを伝えたくて、頑張って声に出す。 喘ぎすぎて掠れ声だったけど、ちゃんと八雲さんに届いた。 少しだけ泣きそうな顔になった八雲さんは、ふわっとこれまでにないぐらい優しい顔で笑って。 「ねえ、俺も同じこと考えてた」 かと思えば、やっぱりガマンできなかったのか、八雲さんの瞳から一筋の涙が流れた。 こんなにキレイな涙見たことがないってぐらい、キラキラしてて。 いろんな感情がごちゃまぜになって、自分が何を考えてるのかすらわからなくなった。 でも、心はすごい満たされてる。 怖いぐらい幸せ。 また八雲さんも同じことを考えてくれてたらいいなって、遠のく意識の向こう側でそれだけ思った。

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