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【番外編】no kiss, no life
きっかけはオレの何気ない一言から始まった。
「八雲さんってキス好きですよね」
「好きだよ。南には負けると思うけど」
「え、八雲さんには負けます」
「……」
「……」
「勝負してみる?」
「勝負?」
「先にキスしたくなったほうが負け」
「いいですよ。絶対八雲さんの負けだから」
「そんなこと言っていいの?」
目を細めて、やらしく唇を舐めてオレのことをめちゃくちゃ煽ってくる。
八雲さん超かっこいい。
売り言葉に買い言葉じゃないけど、つい勝負に乗ってしまったことを後悔した。
だって、もうさっそくキスしたいって思っちゃってる。
「したくなっちゃった?」
「……八雲さんは、したくないの?」
オレは拗ねてますよアピールをするために、ちょっと唇をとがらせてみる。
「お前……それはずるいだろ……」
「するの?しないの?」
「南くんとキスしたいです。いい?」
「許可します」
「可愛いなお前」
頭の後ろに手をまわされて、ちょっと乱暴に引き寄せられる。
こういうオスっぽい八雲さんに、少女漫画の主人公よろしくときめいちゃう。
ふにゅ、と柔らかいのが唇にあたる。
感触を楽しむかのようにくっついたり離れたりを繰り返しす八雲さんが可愛い。
「なーに、にやにやして」
「八雲さん、可愛いなって」
「余裕あるね。えろいキスする?」
「八雲さんがしたいんでしょ?」
「生意気。腰抜かすなよ」
ギラついた瞳にぞくっと背筋が震える。
ヤバイ、もうこれだけで勃っちゃう。
薄く唇をあければ容赦なく舌が差し込まれて、言葉通りに蹂躙される。
息をする暇も与えてくれないぐらい激しい。
熱くて気持ちよくて、舌先から溶けそう。
この後すぐベッドの上に運ばれて抱かれたのは言うまでもない。
▽5月23日:キスの日
キスが好きすぎてけっきょく勝負にならないバカップル。
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