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なにはさておき 6
一度そこを触ってしまったからには止まれないのか、八雲さんは服の上から先っぽをかりかり引っかいたり、はたまた指の腹でぐりっといじられたり。
普段抜くときは先っぽなんて触らないから、初めて感じる気持ちよさに頭がくらくらする。
「ちゃんと勃ってるな」
「っ、っ、」
勃ってるどころじゃない、と心の中で叫んだ。
遡るとお風呂の中でそういうことを想像していたときから、実はゆるく勃っちゃって。
キスしてるときにはもう、張りつめて熱い状態だった。
八雲さんならとっくに気が付いてるはずなのに、やっぱりサドだ。
オレは出てしまいそうになる声を抑えて、与えられる刺激をただ受けることしかできなくて。
「可愛い反応するね」
「っ、だって、」
自分で抜くときは先っぽをあんまり触ったことがなかったから、感じたことのない気持ちよさでもっと触ってほしくなる。
「それ、きも、ちぃ…」
「は…まだ余裕ありそうじゃん」
ぺろ、と舌なめずりをする八雲さんは、今までに見たことがないぐらいえろくて狩猟的で、息が一瞬詰まった。
「自分で脱ぐのと俺に脱がされるの、どっちがいい?」
「えっ!?どっち、えっと…」
「はい時間切れ。おとなしくしてろよ」
「わっ!ちょ、待って…!」
「ダメ。もう待たない」
声は低くてかすれているはずなのに、鼓膜に響いて体の中で反響していくように広がっていく。
その低い声だけで、腰のあたりがぞわぞわしちゃって。
そんなオレの些細な反応すら見逃すはずがなく、八雲さんはくっくっと喉の奥で笑った。
「俺の声、そんなに好き?」
「もう、八雲さんマジでいやらしい…!」
「ははは、ほんと、いちいち可愛いな」
八雲さんの手が今度はスラックスに伸びて、慣れた手つきでするすると脱がしていってしまう。
「……恥ずかしくて死にそう」
「なに?そんなに煽って…いじめられたいの?」
「だって、もう、さっきから心臓爆発しそう…」
「頼むからそういうの、俺の前だけにしろよ」
「当たり前じゃないですか…!」
「正直不安だけど……今は、こっち楽にしてあげないとな」
「んっ!」
八雲さんと話している間、いつの間にか下着まで全部脱がされていたらしい。
急につつつ、と裏側をなぞられて声を抑えることができなかった。
「ぴくってしちゃって、かわい」
「あっ、っ、ぁ、」
何度も往復して撫でられて、八雲さんの言うとおり腰が何度も跳ねる。
本当に自分から出てるのかよって疑ってしまうぐらいの甘い声が、聞き慣れなくてさらに羞恥心がたかまる。
「ねえ、なんで声ガマンするの」
「んっ…だって、こえ、へん…!」
「なんで?俺も南の声好きだからもっと聞きたい」
「んっ、あっ…ず、ずるい…!」
八雲さんに好きだって言われると、ちょろいオレはすぐイエスマンになっちゃう。
「ね、ほら、可愛い声きかせて?」
「まっ、はや、も、イっちゃう…!」
急に竿を握られ、上下に素早く扱かれる。
初めてだらけの快感に頭がおかしくなりそう。
もう早く出して解放されたいの一心で、全神経が八雲さんの手のひらに包まれてる熱に集中していく。
「〜〜っ!」
溢れてくる快感を何かにすがりたくて、八雲さんにしがみついて達してしまった。
「ごめんなさい…つかんじゃった…」
「すがられるの悪い気はしないな」
「っ、」
「南、イくときイっちゃうって言うんだ?可愛いね」
イった直後でまだ頭がふわふわしているなか、八雲さんの香水が鼻の奥をかすめた。
キスされてるんだって気がついたのは、ぬるりと絡められた舌の感触があったときだった。
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