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真夜中ラヴァーズ 5
イったばかりのあとで、息をゆっくり吸って吐くことを意識して呼吸を整える。
そのあいだ八雲さんは暑がるように服を脱いでたんだけど、その様が映画のワンシーンみたいにえろさとかっこよさがあって、きゅんと疼いた。
ベッドサイドにある引き出しを開けて、ごそごそと余計な動きを見せることなく、コンドームを取り出した。
「あ…持ってたんですね」
「まあ、嗜みだからな」
「……使いかけですか?」
「お前なあ、傷つくかもしれないことを聞いてくるのやめろよ…」
「だって気になっちゃうし…」
「そういう知りたがりなところも可愛いって思うけどな」
「で、使いかけなんですか?」
「ばーか新品だよ。お前が妬くのわかってるから」
「……へへ」
「嬉しそうだなあ」
嬉しいに決まってる。
物を大事にする八雲さんが、オレのために新しいのを使ってくれてるんだから。
オレ、今日何回愛されてるなって感じるんだろう。
彼氏の愚痴をこぼすクラスメートの女子たちに、オレの彼氏は最高だって自慢したくなってきた。
新品の箱からひとつ取り出して咥えたまま、片手で封を切った。
中身がなくなった袋はベッドの横に置いてあったゴミ箱の中までふっと飛ばし、慣れた手つきでするすると装着。
そこまでの流れはムダが一切ない動きで、えろいと感じるよりも前にマジックでも見ているかのような気持ちになった。
「八雲さん……百戦錬磨って感じですね」
「うは、なにそれ」
「すごすぎてえろさを感じる前に感動しちゃいました…」
「そりゃどうも。南こういうの好きだと思ったけど」
「え、好きです!」
「惚れた?」
「八雲さんって意外と欲しがりですね」
「言うようになったなあ」
「好きですよ」
八雲さんの身体がぴたっと止まり、目がちょっとだけ大きくなる。
がくっと項垂れて、「は~~」とため息。
「お前ほんと、ずるい」
「でもこういうの好きですよね?」
返事の代わりにキスをひとつ。
啄むようにちゅ、ちゅ、と短いキスをたくさん。
キスが気持ちよくなってきて、ねだるように八雲さんの首に腕を絡ませる。
「あまえじょーず」
「ふふ」
「そのままリラックスしてて」
「ん……ふ、ぅ……」
熱くて堅い八雲さんのものが、後ろに充てがわれる。
ちょっとだけ怖さもあるけど嬉しい気持ちの方が大きくて、きゅうと期待で反応してしまう。
「すけべ」
「んうっ…!」
口の中に舌を差し込まれ、ゆっくりと舌先を絡め合わせる。ちゅるっと吸われたり、舌の裏を愛撫してきたり、また絡めてきたり。
突然の深いキスに頭がくらくらしてきて、全身から力が抜けていく。
それを見計らって、八雲さんの熱が少しずつ入ってくるのがわかった。
「あっ、っ…んぁ…」
「上手……そのまま、こっち集中して」
こくこくと頷いて、八雲さんとのキスに溺れる。
少しでも後ろを意識したら、八雲さんを苦しめることになりそうで少し怖かった。
「っ、あー、やべ、気持ちいい…」
「んっ…入った…?」
「だいたいね。痛くない?」
「大丈夫みたいです…」
「すぐには動かないから、少し慣れようか」
「ん…」
八雲さんに聞かなくてもわかる。
今、めちゃくちゃ苦しいはずだ。
だって、オレのなかにいる八雲さんは熱くて、脈打ってるのも少しだけど感じる。
それでも、オレのことを一番に考えてくれることがどうしようもなく嬉しくて、無意識にきゅうと締め付けてしまう。
「っ、南…」
「あ…八雲さんの熱を感じたら、つい…」
「あー、やばい、そんなにもたないかも」
切羽詰まったように言う八雲さんが新鮮で、だけどなんだか可愛くて。
促すように、八雲さんの腰に脚を絡めた。
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