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八雲先生のご褒美

八雲さんはオレにめちゃくちゃ甘い。 とにかく甘やかしてくる。自他共に認める溺愛っぷり。 矢吹さんがよく「糖尿病になる」って言うけど、その例えはあながち間違いではないと思う。 オレでも砂糖を吐くんじゃないかと思うときがあるぐらい。 でも八雲さんはやるときはやる人で、スイッチが入ったけっこうスパルタ。 頭いいし、要領もいいし、なんでも卒なくこなせる器用さもある。 柔らかさと爽やかさを兼ね備えてる見た目から想像できないかもしれないけど、先読み力がすごい。 で、この前八雲さんに勉強を教えてもらったときも、すごかった。 いつもはあんなに優しいのに、火がついちゃうみたいでなかなか厳しい教え方だった。 ちょっとお触りしてきたりしたのは八雲さんだなって思ったけど…。 今日、八雲さんにいろいろ叩き込まれたテストの結果が全部返ってきた。それをカバンに詰め込んで八雲さんの家に来ている。 「コーヒーとお茶どっちにする?」 「お茶!」 「ん。俺もそれにしよ」 トレイにコップを2つ載せてキッチンから出てくる。 八雲さんは胸元がゆったりした黒のシャツに、グレーのルームウェアを履いている。 キレイなカジュアル服を着てる八雲さんも好きだけど、こういうゆったりしたのも好き。 オレしか知らない八雲さんだって思うし、着飾ってなくても似合っててかっこいい。 「八雲さん、中間テストの結果返ってきた」 「うわ、今回けっこう本気で教えたからちょっと緊張する」 「八雲先生こちらが結果です」 「……今のグッときた」 「八雲さんオレのこと好きすぎ」 この場に矢吹さんがいたら「夫婦漫才ごちそーさま!」って言いそう。 返ってきてたテストの用紙を、テーブルの上に全部出す。 八雲さんはそれを1枚1枚確認すると、がっくり項垂れた。 「え……ダメだった?」 恐る恐る聞くと、顔をあげて首を横に振る。 「逆。安心して力抜けた」 「じゃあ…」 「よく頑張ったね南」 「八雲さん好き!ありがとうございます」 八雲さんが頭をぽんぽん撫でてくれる。 嬉しくて、八雲さんの首元に頬を擦り寄せた。 「頑張った南にご褒美あげる。何がいい?」 「いいんですか?それじゃあ…久しぶりにどこか行きたいです」 「いいね、最近うちばっかでデートしてなかったし」 「ちょうど観たい映画あるから、一緒に行きましょう!」 「映画か…うん、いいよ」 そう言うと、八雲さんは優しく唇を重ねてきた。 自分から口を少し開けて、八雲さんを迎え入れる。 「んっ…ぁ…」 ゆっくりと深く貪るようなキスをして、唇を離す。 2人の唇から銀糸が繋がっていた。 「南、抱きたい」 「……1回だけですよ」 けっきょくスイッチが入ってしまった八雲さんに散々啼かされ、やっぱりこの人絶倫だったんだと再認識して腰を擦りながら学校へ行ったのだった。

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