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放課後ユーフォリア 6
南を立たせ、個室のドアに手を付けるように言う。
まだ何をするのかわかってないみたいで、不安そうにこちらを見てくる南。俺は安心させるように目元にキスを落とす。
「ナカには挿れないよ。腰、もうちょっとこっちに出せる?」
「んっ、」
南の腰を優しく撫でてやると、軽く揺らしながら遠慮がちに突き出してきた。
背中から腰、太ももにかけての滑らかなラインが、男子高校生とは思えないほどキレイで艶めかしい。
脚を閉じるように言うと、南の腰を掴んでほどよい肉付きと筋肉がついている太ももに、熱を孕んだ自身を後ろからゆっくり差し込む。
「ひ、あっ!?」
「ん…南、そのまま脚閉じてて」
「あっ、あっ、あっ、なんか…ん…へんっ…」
腰の動きを少しずつ速める。
南の中に入ってるときと違って、太もものすべすべとした肌触りが新鮮で気持ちいい。
脚をガクガク揺らしてるから、その振動も伝わってきて癖になりそう。
太ももを行き来しながら、南の陰茎の裏側も一緒に擦りあげてやる。
今日一番大きな嬌声をあげ、ガクンと膝が折れた。
「南、ちゃんと支えてあげるから…んっ、今日は一緒にイこう」
「はあっ、やくもさ…んぁ、あっあっ…イく…イきたい、いっしょ…!」
「ほんとっ、とことん煽るねお前…」
腰の動きにラストスパートをかけると、南が絶え間なく啼き続ける。
泣きながら俺の名前を呼ぶから、もう愛おしくて仕方ない。
俺も南の名前を耳元で呼びながら、2人同時に精を吐き出して果てた。
「八雲さん、今日はありがとう」
「どういたしまして。楽しかった?」
「楽しかったけど……けっきょくするんだなって」
「あー、ね。ホテルに行こうかなと思ってたんだけど、まさかトイレでするとは思わなかった」
「え、行こうとしてたんですか?」
「制服南と放課後デートがけっこう背徳感ありつつ、こう……もえた」
「八雲さんオレのことになると単純になるよね」
「自分でも怖くなる」
日は沈んで星が輝き始めた明夜。
人通りの少ない静かな夜を、手をつないで歩く。
さっきまでの熱い情事が嘘のように、俺の心は落ち着いてる。
それはたぶん、南も同じ。
つないだ手に力を入れてぎゅって握ると、南も笑いながら握り返してくる。
南を抱くのも好きだけど、こういう静かな空気の中ゆっくり過ごすのも好き。
手のひらから伝わる南の温かさが、俺の精神安定剤。
「こっちこそありがとう、南」
「オレ何かしましたっけ?」
「いや…俺のこと好きになってくれてありがとう」
「は、えっ」
照れてる南が可愛くて、思わず笑みがこぼれる。
そうしていると、あっという間に南の家に着いた。
門の前で立ち止まってまたね、と挨拶して帰ろうとすると、服の裾をつかまれた。
「八雲さんも、その…」
「ん?」
「オレのこと好きになってくれて、ありがと…」
「……うん」
「そ、それじゃあおやすみなさい!八雲さんもゆっくり休んでくださいよ!」
「あはは。うん。ありがとう」
言ってて恥ずかしくなったのか、逃げるように家の中に入った南を見送る。
しばらく南が消えた玄関の扉を見つめて、近隣の人たちに怪しまれる前にその場から離れる。
すると、スマホから通知を知らせる電子音が鳴った。
見ると南からのメッセージで、「好き」と一言送られてきていて。
このたった2文字で、俺がどれだけ救われてるか南は気づいてないと思う。
南と出会って、南が俺のことを好きになって、俺も南を好きになって。
本人には言わないけど、本当に奇跡だと思ってる。
「俺も好き」と4文字を返信して、誰もいない暗くて静かな部屋に帰るべく歩き出した。
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