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体育祭とメガネ 2
南から事前にもらったプログラムを見ると、午後の部までフリーなはず。
そろそろ戻ってきてもおかしくないはずなんだけど、南の姿が見えない。
べつに心配するようなことではないと思うけど、あの南だ。
自分で言うのもアレだけど、俺のことを好きすぎるあの南がまだ姿を見せないのはおかしい。
右京さんも気になるのか「遅いですね」と言う。
「あそこに柳がいるから八雲さん聞いてみれば?」
「ん。ちょっと行ってくる」
南の友だちである柳準太は弓道教室に通ってはいないものの、南がよく連れてくるからわりと仲がいい。
「お疲れ、柳」
「あー八雲さん久しぶりじゃん。南なら忘れ物とりに教室戻ってるよ」
「柳ってバカだけど話が早くて助かるよ」
「はいはい南バカは早く行ってどーぞー」
柳にありがとうとお礼を言うと、南がいるという2年3組の教室へ向かう。
廊下から教室を覗くと、机に伏せて寝ている南がいた。
静かに中に入って、ひとつ前の席の椅子をひいて向かい合わせになるように座る。
それでも起きる気配がない。
俺に会えないぐらい練習頑張ってたし、南が気づいてないだけで疲れが相当たまってたと思う。
労うように頭を撫でてやると、眠りが浅かったのか南が起きた。
「んう……あれ、八雲さん…?」
「そう。ごめんな、起こしちゃった?」
「だいじょーぶ…むしろ起こしてくれてありがとう」
くあ、と欠伸をして半開きだった目がようやく開かれる。
「なんか、教室に八雲さんと2人きりって、変な感じ」
「教室に誰もいないと少し特別な感じするもんな」
「たしかに」
ふはって南が笑う。
校庭側の窓から風が入ってきて、南の柔らかい髪を揺らしていた。
「やっぱり八雲さんメガネすごく似合ってる」
「でもずっとかけるわけじゃないよ。必要なときだけ」
「ふぅん?じゃあ、今は必要ないですね」
さっきまで無邪気に笑ってた南が急に色香を漂わせ、両手で俺のメガネをゆっくり外す。
南はどこまで俺を煽るつもりでいるんだろう。
正直メガネを外してくる南の色気にドキドキしたし、愚息も少し反応してしまった。
日に日にえろくなる南に、もう小悪魔という言葉では表現できなくなってきてる。
南がキスしたいんだなってすぐわかってたから、お互い吸い寄せられるように唇を重ねる。
いつも俺がリードしているキスも、今日の南は積極的で俺の唇に吸い付いてくる。
「んっ、ちゅ……やくもさ、ぁ…」
まだ拙いところがあるけど、懸命に俺を求めてくる南がどうしようもなく可愛くて、すぐ甘やかしてしまう。
俺に貪りついてる隙をついて、南の口内に舌をねじ込む。
びっくりした南が一瞬身を引きそうになったのを、手で頭を押さえながら下唇に噛み付いて逃さないように動きを封じた。
歯列を丁寧になぞり、舌を吸いながら付け根も嬲る。
最初はもがいてた南も、だんだんと大人しくなって今では完全に俺に委ねてる。
俺のシャツを力なく握ってる南が可愛きて好きだ。
舌を堪能したあと、食べるようなキスをもう1回。
1週間ぶりの深いキスだから、味わうように食む。
もう無理とでも言うように南が身体をふるっと震わせるけど、そんなのお構いなしに続ける。
教室内にキスの水音と俺の吐息、そして南のくぐもった声が響き渡る。
学校の、しかも南が勉学を学んでいるこの空間で犯すことに、背徳感からくる興奮が押し寄せる。
南が飲み込めなかった唾液が顎をつたって垂れ始めた頃、俺はようやく唇を離した。
「ぷはっ!はーっ、やく…もっ、はぁ……しつこい!」
「はぁっ…だからさ、こうなるから俺をあんまり煽らないで」
「知らない…全部八雲さんがそうさせるんだもん」
「俺の色気も怖いし南の無自覚も怖い」
南の息も整ってきたし、もうすぐ昼休憩になるからそろそろ戻ろうかなと思っていたら、南が膝を擦り合わせて顔を真っ赤にしてこっちを見てきた。
「………たった、んだけど」
「お前えろすぎ……」
南は自分の席から立ち上がって俺のところまで来ると、体操服のズボンと下着を少し下ろして膝の上に座った。
「ね…一緒にすって…」
南は俺の理性をぶっ壊すのがうますぎる。
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