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体育祭とメガネ 6
「総合優勝おめでと、南」
体育祭が終わり教室に戻ってホームルームを終えたオレは、正門で待ってる八雲さんのところへ来ていた。
結果はオレのクラスが全学年で1位。
それぞれ種目と順位ごとにポイントが決まってて、その得点で競う。
一番ポイントの高いクラスが対抗リレーで1位を獲れたのが大きかった。
「やく、もさん」
「あは、まだ恥ずかしがってるの?可愛い」
「当たり前じゃないですか…みんなに茶化されるし穴があったら入りたい…」
全校生徒の前であんな堂々と姫抱っこされて、髪にだけどキスされて(思いっきりバレてた)、オレは八雲さんにぎゅって抱きついてたし…。
「お前とあのイケメンさんならなんか許せるわー」とかすごい言われた。
柳にはバカップルもほどほどにしとけよって言われたし。
「俺的にはこれで南が誰のものか、わからせることができたから満足してるけど」
「またそういう恥ずかしいことをさらっと当たり前に言いますね!?」
おもわず大きな声で言ってしまい、周りの視線を集めてしまった。
女子が借り物競争の人たちじゃない?とか話してるのが聞こえて、もう恥ずかしくて顔を上げることができない。
八雲さんがお得意の女子悩殺スマイルを向けながら人差し指を唇にあて、シーってしたら黄色い声をあげながら帰って行った。
「俺たちも帰ろう」
「ん、」
八雲さんが見せる年上の余裕と色気に、まだ全然慣れない…。
いつも初恋みたいにドキドキしてしまう。もう麻薬みたい。
「今日うち寄る?」
「あ、はい。久しぶりに行きたいかも」
「いいよ、おいで。南がゆっくりできるようにご飯も作っておいてあるから」
どうやら八雲さんは、今日はするつもりないみたい。
体育祭のあとだから当然か…ただ、オレはちょっとしたい…てかもっとメガネを堪能したい。
「ん……ゆっくりしたい」
「帰ったらすぐ風呂の準備するから、ゆっくり休みな」
「……そうじゃない」
八雲さんはオレが今日絶対しないんだろうなって思ってる。
こんなに鈍い八雲さん久しぶりで、ちょっとだけムカつく。
自分からキスしたいのに、身長差があってギリギリ届かないから手をとって指先にちゅっと唇を落とす。
「こっちの、意味なんだけど」
「……せっかく気遣ってるのに」
「八雲さん今夜はメガネとらないでね」
「毎回新しい殺し文句言ってくるのやめて…明日立てると思うなよ」
「八雲さんが世話してくれるんでしょ?」
「お前ほんと可愛くてむり…」
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