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スウィーティー・バースデー 1

7月2日。 今日は俺、本田八雲の誕生日だ。 今日で21歳になる。 今まで誕生日とか興味なかったけど、南が毎年欠かさず祝ってくれるものだから少しずつ楽しみになってきている自分がいる。 今年の誕生日は平日だから、南の学校が終わってからうちに来ることになっている。 ケーキは南が用意して、2人でご馳走を作って食べる。 これが毎年の誕生日のパターン。 例にもれず今日も南と過ごすわけなんだけど… 南がさっきからインターホンに手を伸ばしては引っ込めて唸って、の繰り返しでなかなかピンポンが鳴らない。 付き合い始めて初めての誕生日だから、たぶん緊張してるんだと思う。 いちいち恥ずかしがっちゃって…本当に可愛い。 ずっと見ていたいけど、外は暑いし早く南を感じたいから俺からドアを開ける。 「う、わ!八雲さん!?」 「いつまでそうしてるつもりなの、南」 「み、見てたんですか」 「オドオドしてて可愛かったよ」 「……さっさと押せばよかった」 恥ずかしがって顔を隠す南を家に上げる。 南の左手にデコレーションされた紙袋が握られてて、今年はどんなケーキにしたのか楽しみになった。 「八雲さん、こっち向いて」 「ん?」 振りかえって南を見ると赤い顔はそのままで、俺にしゃがめと手でジェスチャーしてきた。 南に従って少し膝と腰を折ってやる。 「誕生日おめでとうございます」 そう言うと、南が俺の唇に自分のを重ねてきた。 南からのキスはほっぺだったりおでこだったり…滅多に唇にしてきてくれないから、正直興奮した。 「ん…ありがとう南。好きだよ」 「オレもです。生まれてきてくれて、ありがとうございます」 2人のおでこをくっつけたまま笑い合う。 南の髪を手で梳いたら、気持ち良さそうに擦り寄せてくる。 「可愛い南…あとでたくさん可愛がってあげるから、部屋に入ろっか」 南は下を向いたまま小さく頷く。 可愛い恋人に期待されてちゃ、今日は頑張らないとな。 南が持ってた紙袋を預かると、中から箱を取り出して冷蔵庫にそっと仕舞った。

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