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スウィーティー・バースデー 7

「…………」 ぐったり。 今の南を表現するなら、これ以上に的確な言葉はない。 さすがに意識を飛ばさせないように調整したのは酷だったかな…と今さらながらに思う。 でも弱っててすべてを俺に任せてる南がどうしようもなく可愛くて。 本当にこんな性格じゃなかったはずなんだけど…南のことになると、自分を制御できない。 南のナカに出しあと身体をキレイにして着替えを手伝い、リビングまで運んでソファーベッドに下した。 その隣に俺も腰を下ろす。 「……八雲さんまじドS」 「こんな趣味なかったはず、なんだけど」 「八雲さんまじ鬼畜」 「南のオナニー可愛かったけど……こうなるから気を付けて」 「ばっ!や!は、ず!」 俺に見られた恥ずかしさを思い出した南は、噴火したように一瞬で顔を赤くさせる。 口も全然回ってなくてあたふたしてる。 「南がまた見せてくれるなら、俺はいつでも歓迎するけど」 「しない!一生しない!絶対しない!」 こんなに全力で否定してくると、自分から見せてくれるようになるまで育てたくなるって南はわからないんだろうな。 南は俺がこんなに黒いことを知らないだろうし、俺自身でも引くときがある。 潤滑剤も起爆剤も南だから、もう本当に麻薬のように南が手放せない。 赤い顔でガルルって警戒してる南がまた可愛くて、やっぱりいじめたくなる。 これは絶対俺のせいじゃないと主張したい。 「南、食べたいな」 「え?え!?だ、ダメですもうダメ!」 「あはは、ケーキだよケーキ。甘いもの食べたい」 「~~~っ!」 わざとそっちの意味合いの言い方をしたら、やっぱり引っ掛かった。 南にしてみれば羞恥の連続で、もう爆発寸前。 夜はまだこれからだし、おもてなしをしてもらわないとだし、そろそろ優しくしておかないと拗ねちゃうかな。 「ほーら、俺と一緒にケーキ食べよ?」 「うー…」 「南が選んで買ってきてけれたケーキ、すごく楽しみにしてたんだけど」 「八雲さんやっぱりずるい…」 「素直で可愛い南が好きだよ」 「ふ、」 南の唇にキスを落として、瞳を覗き込む。 恥ずかしそうに1回視線を逸らしたあと、控えめに合わせてきた。 「八雲、さん」 「うん?」 「誕生日、おめでとうございます」 「うん。ありがとう」 「オレ、ほんとに八雲さん好き、だから…こうやって祝えて嬉しい、です」 「うん」 「来年も再来年も…この先ずっと、八雲さんの誕生日をオレが一番に祝いたい」 「……あはは、もう南しか必要ないな」 たまに見せてくる真剣な顔のかっこいい南に触れるたびに、俺はドキっとさせられる。 普段の可愛らしさを感じさせない、男の南。 南から顔を寄せてきて、唇を吸われる。 全然鳴れてないぎこちないキスだけど、気持ちよくて蕩けそう。 「八雲さん、オレも食べたくなってきた」 「あー…ほんと、南には勝てないわ」 こうして、俺は南という深淵に沈んでいく。

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