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スウィーティー・バースデー 13

目を覚ませば、目の前は真っ黒だった。 まだ夜なのかなって思ったけど、よく見てみれば八雲さんの髪なんだと気づく。 ほのかにシャンプーの香りがして、なんだか胸がきゅっとした。 あの後のこと覚えてないけど、身体がべたべたしないから八雲さんが拭いてくれたんだなってのはわかる。 オレが先に潰れたとき、八雲さんは必ず後処理をしてくれる。 八雲さんだって疲れてるはずなのに、シーツも脱ぎ散らかした服もキレイにしてから寝るんだ。 八雲さんは絶対スパダリになる。 オレが保証する。 そ、それにしても昨日はめっちゃ吸い取られ搾り取られ…出せるもの全部出した気がする。 口の中なんかカラッカラ。 涙も出しすぎて目がしぱしぱでドライアイになってるし。 「ん…な、み…」 隣で八雲さんがもぞもぞと動く。 しかも寝言でオレの名前言ってる…ちっちゃい子どもみたいで可愛い。 そういえば八雲さんより早く起きることってちょっと珍しいかも。 この前のテスト期間中のアレ以来かな? 丸まって寝てる八雲さんの髪を撫でてみる。 八雲さんの髪柔らかくて気持ちいい…ずっと触っていたくなる。 八雲さんもこんな気持ちでいたりするのかなーって思ってたら、ゆっくりを目を覚ました。 「…ん、?」 「ごめんなさい、起こしちゃいました?」 ぱっと手を離して謝れば、ベッドに顔を埋めて擦り付けるように頭を振る。 なんかすっごい甘えたな八雲さん超レア…なにこれ夢でも見てるの? 「んー…みなみ、もっと…」 「え?」 「なでて」 レアな八雲さんだ…。 いつもかっこよくて年上の余裕があってイケメンなのに、この可愛らしいギャップがすごい。 オレはもちろん快く頷いて、もう一度撫でてあげる。 「ふふ…きもちー…」 「八雲さん、寝ぼけてます?」 「ねぼ?」 「あ、寝ぼけてますね了解です」 なるほど。どうやら八雲さんは半分寝ているみたいだ。 「いま何時ー?」 「えっとー…朝の6時です」 「ん…できそう」 「何がですか?」 八雲さんは質問に答える前に、なぜかオレのことを押し倒して覆いかぶさってきた。 「えっと、八雲さん?」 「つづき……」 つづきって…昨日オレが先に飛んだから? これ本当に八雲さんねぼけてる。全体的に覇気ないし! っていうかいくら寝て回復したからって、昨日散々された後の朝はもう少しよっくりしてたい。 そんなオレの願いとは裏腹に、八雲さんの手はするりと身体に這ってくる。 「あっ、ちょっと、だめだって、ん…八雲さん!」 「きのうイってない」 たしかに!先に落ちちゃったけど! でも八雲さんにお願いされると弱くて…1回だけだったらいいかなとか思っちゃうから! 「みなみ……だめ?」 「ダメ…じゃ、ないです…」 八雲さんに対してもう少し鬼になろうと思った朝だった。

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