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【番外編】例えばの話

南が家庭の事情で引っ越しをしてから、当たり前だけど毎日会うことなんかできなくなった。 新幹線で3時間、さらに電車で1時間弱乗って、ようやく俺の家の最寄駅にたどり着くことができる。 今日は3連休の初日、そして忙しくなる年末年始直前の最後の休みになるわけで。 夏休みに会って以来、久しぶりに会う日がやってきた。 「八雲さん!」 最寄駅まで迎えに行って南を待ってたら、駅構内に響き渡る大きな声が俺を呼んだ。 右手でキャリーバッグを引きずって、左腕はちぎれるんじゃないかと思うぐらい大きく手を振っている。 「久しぶり、南」 「八雲さんーっ」 ここが公共の場であることも構わずに、俺のところまで駆け寄ってきた来た南はばふっと胸に飛び込んできた。 久しぶりの南の声や匂いに、抱きしめたくなる衝動を殺して頭を撫でる。 「疲れてるだろ?昼ごはん用意してるから、早く帰ろう」 「八雲さんのごはん!」 南は嬉しそうに笑った南からキャリーバッグをとり、自分で持って家路につく。 「ほんと…八雲さんってずるい…」 「何か言った?」 「なんでもないですー」 ぽそっと何かを言った声は聞き取れなくて、南を見てみれば顔を赤くしていた。 それでなんとなく察しがついたから、それ以上何も言わないでおく。 半歩後ろを健気についてくる南に、口角があがるのを感じた。 家に着いてからは、作り置きしていたカレーを温めなおして食べる。 夕飯はカレーうどん、明日の昼はドリアを作るつもりでいる。 「あっちの家より八雲さんちのほうが落ち着きます」 食後、食器を洗い終わって南が寝転がっているソファーベッドに座ったら、不貞腐れ気味に言った。 「今年の春に引っ越したばっかりだし、しばらくは仕方ないな」 「うー…オレが高校生じゃなかったら兄ちゃんみたいにこっち残るのに」 そう、もう大学生の大也は一人暮らしの経験をしてみろということもあり、こっちに残ることを許可された。 俺の存在も南家にとっては大きいらしい。 「親御さんの気持ちもわかるよ。やっぱり高校生ってまだ子どもだし、いくら大也が残ってても心配なんだろ」 「子どもじゃないし…」 南は、自分を子ども扱いされることが嫌らしい。 前に俺と対等な立場でいたいって言ってたけど、やっぱり俺から見ても南はまだ子どもだ。 「八雲さんも、まだオレのこと子どもって思ってるんですか?」 「そうだなー…目が離せないし、危なっかしいところもあるかな」 「思ってるじゃん…」 不服みたいで、余計に不貞腐れた南はしばらく足をジタバタさせる。 こういうところも子どもっぽいんだよなーとは、さすがに言わない。 子どもっぽいところも俺の好きな南だから、変に背伸びはしてほしくないと思う。 しばらく南を見てたら、何を思ったのかガバっと起き上がってじりじり近寄ってきた。 「南?」 そのまま座ってる俺の膝の上に、向かい合わせで座ってきた。 「ねえ…オレほんとに子ども?」 そう言うと、南はおおもむろに俺の陰茎を手で擦り始める。 「ちょっ、南!?」 南に触られるのなんて夏以来だから、俺のそこはすぐに熱を持ち始める。 反応を始めたのを見た南は舌なめずりをして、自分のも触り始めた。 チャックを下ろし、下着から取り出して同時に擦る。 「んっ、ぁ、きもち、ぃ…」 「っ、それ、どこで覚えてきたの」 南の顔はもうすでに蕩けていて、声も甘く高くなっている。 「ね、やくもさん…」 首筋にキスをたくさんしてくる。 ここまで誘われて煽られたら、もうやることは1つで。 「調子のんなよ、えろガキ…」 「んっ、ふあっ…」 南を押し倒して唇にかぶりつく。 「南がそんなに言うなら、容赦しないから」 「アッ!?ゃ、あっ、やくもさ…!」 久しぶりに触れる南の柔肌は暖かくて、全身が溶けていきそうな感覚に陥る。 けっきょく暗くなるまで南を抱き潰し、風呂に入り、夕飯を食べ、また懲りずに抱き合ったのは言うまでもない。 ▽12月21日:遠距離恋愛の日 もしも2人が遠恋だったら

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