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 「ぅ…っ」  ちり、として一瞬火が点いたような感覚に、市村が眉を潜める。  ちくりと針が刺すような僅かな痛みのあとに残ったのは、キスマークだ。  自分のものと成った彼を堪能するように更に首筋に口づけ、吸って、土方の唇がそのまま鎖骨まで降りていく。  外気に触れて、少し立ち上がった乳首を見つけると、そこを悪戯するように舌先でつついて刺激してやる。  「ぁ、ん…っ!♡」  市村が、はっとして口元を手で覆った。  思いがけず、未だかつて発したことのない上ずった声が出てしまい、かあっと顔が赤くなる。  「んくっ…」  土方が、胸の突起を口に含んで舌で転がし、幼さの残る小さな乳輪ごと吸い上げると、市村は食いしばって身を捩った。  そうやって必死に声を出すまいとしている市村の口元から、土方は手を外させる。  「可愛い反応するなあ、お前」  「だって…へ、変な感じです…。くすぐったい…」  「くすぐったいだけか?」  「…すこし、きもちいです…」  市村はそう言うと、土方と視線を合わせることが恥ずかしくなって、ふいと顔を背けた。  しかし、もっと触られたいとでも言いたげに、愛撫された乳首は鮮やかに色づいて、ぷっくりと膨らんでいる。  未経験にもかかわらず、正直に反応を示す体が堪らない。  恥ずかし気に顔を背ける仕草も、可愛がられて熱を持ち、つんと立ち上がる小さな乳首も、全てが愛しく思える。  …その全部をめちゃくちゃにしたら、お前はどんな顔をするだろう。  土方は、まだ手付かずだった市村の下肢に手を伸ばし、そのベルトに手を掛けた。  「あ…!」  ベルトを、造作もなく引き抜かれたかと思えば、瞬く間に下着ごとボトムを下げられてしまう。  少し乱暴で余裕のないその動きから、興奮している土方の様子が伝わってくる。  一思いのうちに外気に曝された下半身を、咄嗟に覆い隠そうとするが見抜かれてしまい、その手はいとも簡単に捕らえられてしまった。  剝き出しで露になっている、男性の筋肉にしては弾力があってまろみもある、むっちりとした白い太腿の間に挟まれた市村のペニスは、少しだけ質量を増して震えていた。  「せんせい…、恥ずかしいです…」  「じゃあオレも脱ぐよ」  土方はそう言うと、市村の体を膝立ちで跨いだまま、自分も着ている服を脱ぎ始めた。  ニットの上着と肌着を、下から捲り上げるようにして、頭から抜き去る。  襟足にかけて緩く波打つ乱れた黒髪をバサバサと振って、邪魔なものを捨てるように床に衣服を投げた。  露になった土方の、大型の肉食獣を思わすしなやかな筋肉に覆われた上半身に、市村は惚けるようにぼんやりと釘付けになる。  均整の取れた逞しい体躯だ。  見たことのない先生の姿に固唾を飲んでしまう。  それから土方は、手早くボトムも脱ぎ捨てた。  ボクサーパンツの下着を引き下ろすと、張り詰めていた長くて固いペニスが、ぶるん、と反り返って姿を現す。  …これが、大人の男の人の性器なんだ。  初めて見る、そのいきり立って脈打つものに、市村は戸惑いながら頬を赤く染め、土方を見た。  一糸まとわぬ姿となった土方が、前のめりになって口づけてくると、同時にペニスとペニスが擦れあって密着する。市村のまだ幼さを残すモノがぴくりと跳ねて反応したのを感じ取り、互いに求めあっていることが分かって、土方は目を細めた。  「あの…僕にさせてください」  「ん?」  「先生のおちんちん、口で…」  いきなりそんなことを言われて、土方は一瞬ぎょっとしてしまう。  経験は無いが、そういう行為もするものだとは分かっているらしい。  それはそうか、と思いながらも素直に、じゃあそれで、とは言えない。  「いや、いいよ。無理すんな」  「させてください。お願いします…」  駄目ですか?と小首を傾げて言われて言葉を失ってしまう。  正直、積極的に求められることに悪い気はしない。  しないが、オトナとして多少躊躇われる気持ちがある。  初めから市村に、そんなことまで教え込んでいいのか。  ぐるぐると考えていると、土方の長い脚に跨がられていた市村がその間からもぞもぞと抜けだした。  そして、膝に引っかかっていた下着を徐に脱ぎ、膝立ちになっている土方のペニスの前に、ちょこんと座った。  曇りなき眼に、天を突いていきり立っている自分の雄を改めて見つめられると、さすがに少し気恥ずかしい。  だが、観念するのに時間はかからなかった。  じゃあ、まずは手で…と言いかけたところで、市村は土方のペニスに片手を添えて優しく掴むと、小さな口を開けた。  赤い舌が覗いて、ぞくりとする。  「う…っ」  そのまま、はむ、と鈴口を食まれ、亀頭から竿をずるずるとゆっくりと咥え込まれる。  土方は、ペニスが熱い粘膜にねっとり覆われる感覚に小さく呻いた。  …いつも自分の指導の元、熱心に勉学に励んでいた彼が、一緒に出掛ければ隣で無邪気にはしゃぐ彼が、今、自分の下で男性器をしゃぶっている。  あるまじき背徳感にも似た感情と、普段の彼とのギャップの卑猥さに、唾を飲んでしまう。  小さい口の中、可愛い舌が蠢いて、張り詰めているモノに拙く絡みついてくる。    「…ん、んン…♡」  土方の下で苦しそうな声を漏らす市村は、ゆるゆると上下に頭を動かした。  行為自体は当然拙い。本当にただ、ペニスを口に含んで抜き差しをしているだけに等しい。  だがその稚拙さに興奮してしまう。  可愛い教え子が、目を瞑って頬を上気させながら、口を窄ませ、気持ちよくなってほしい一心で健気に怒張に奉仕しているのだから。  その絵面に、理性など簡単に吹っ飛びかけてしまう。  (くそっ)  市村のしたいようにさせながら、土方は天を仰いで目を閉じた。  このままじゃ、いつまでも持たない。油断しているとすぐにでも達してしまいそうになる。  …このまま喉の奥までペニスを突き入れてやりたい。  何も知らない体に、男の性というものを、これでもかというほど教え込ませたい。  土方は、ふつふつと湧いてくる欲求に堪えながら、片目をうっすら開けて下を見た。  すると、飴を転がすように大人しくペニスをしゃぶっているだけに思われた市村が、土方のペニスを咥えたまま、片手を自分の股間に伸ばしかけていた。  自分で自分のモノを慰めようとしている。  (こいつ…)  土方は市村の頭を掴むと、半ば強引に腰から引きはがした。  ちゅぽ、という音がして、口からペニスが抜け出ると、唾液が唇とペニスの先端の間で糸を引く。   突然のことに、市村は不安げに土方を見上げた。  「先生…気持ちよくなかったですか…?」  「いや違う。すげえよかったよ」  「でも、まだ…」  「オレも気持ちよくしてやる」  「ふえっ…?」  土方は、座っている市村の背後に回ると、その背中を自分に凭れかけさせた。  そして後ろから、市村の股間に手を伸ばし、完全に勃ちかけている彼のペニスを握り込んだ。  市村の体が一瞬、怯えるようにびくりと跳ねる。

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