「ぅあんっ…！」 　「…オレのちんぽ咥えながらオナニーしようとしただろ」 　「んっ、…はい…」 　「興奮したのか？」 　市村は観念したように一度、頷いた。 　土方は気取られぬように溜息を吐く。 　幼さと、あどけなさを残しながらも、無意識にこんな小悪魔的な一面を見せてくる市村のことなど、知るところじゃなかった。 　それに、これからもっと彼の、淫らな一面が見れるかと思うと、早く体の奥の奥まで暴いてやりたくなって仕方がない。 　その様をオレにも見せつけて欲しいし、お前には、自分の中の欲望がいかに卑猥なものか、真正面から向き合わせてやりたい。戸惑う体に、全てを享受させてやるのだ。 　土方は、市村に自分で自分のペニスを握らせると、その上から手を被せて、ゆるゆると上下に擦った。 　まるで自慰を手伝われているような感覚に、市村はぞくぞくと背筋を震わせた。 　「ふぁあ…っ、せんせ…！」 　「気持ちいいか」 　「っはい…、きもちい、です…っ」 　市村は、自分のペニスを扱いている手とは逆の手で土方の腕を掴みながら、はあはあと息を荒げ、その刺激に身もだえる。 　張り出した笠の、雁首の部分を擦り上げられるたび、はしたなく腰が揺れそうになってしまう。 　「ぼく…っ、先生のこと考えながら…ひとりで、してました…えっちなこと…」 　「…一人でしてたのか」 　「ん、ふぁ♡」 　「…オレもテツのやらしいとこ考えて抜いてたよ」 　「ゃあ…っ！」 　互いに白状したあと、土方は市村の耳たぶに背後から歯を立てる。 　興奮した土方の、熱を含んでじっとり濡れた吐息が項と首筋にかかり、市村はふるりと震えた。 　「可愛いな、テツ…」 　土方は片方の手で、市村の胸の飾りを捏ね始めた。 　ひ、と短く声を上げて、市村が喉を反らして反応する。 　「なあ、オレにどうされたい？」 　「はぁっ…胸、もっと…いじってくださぃ…♡」 　すっかり熟れて桃色に染まり、立ち上がった乳首を望むとおりに抓ってやれば、先ほどとは違って感じ入った甘い嬌声が漏れる。 　 　「ふあぁ…っ！♡」 　それから、指で乳頭を挟んで円を描くように優しく撫でたり、指先で弾いたりして弄ぶように愛撫してやると、市村は短く呼吸を繰り返しながら切なげに喘いだ。 　土方はその甘ったるい声に中てられて、市村の手ごとペニスを扱く動きを早くした。 　「あっ、ぁ、あんん、せんせ、あ、出ちゃ、うっ♡」 　「イくとこ見せて…」 　項を舌でべろりと撫ぜて歯を立ててやれば、市村はびくびくと体を震わせた。 　「ぁあ――…っ！♡」 　そして、一際高い声をあげたかと思うと背を反らし、腰を震わせて射精した。 　土方の手と、シーツを汚してぼたぼたと垂れる白濁の最後の一滴までを出しきると、市村は土方に背を預けてしなだれかかったまま、くったりと脱力した。 　虚ろな表情のまま肩で息をしている市村が、可愛らしくて愛しくて堪らない。 　土方は市村の顎を掬って後ろを軽く振り向かせると口づけた。 　半開きの唇から舌を侵入させてやれば、おずおずとその小さな舌を差し出してくれた。絡め取って、吸ってやれば、苦しそうに顔が歪む。 　…もっと気持ちよくしてやりたい。 　土方は、市村の体をベッドに横たえさせると、ティッシュで軽く残滓を拭き取り、ベッドから立ち上がった。 　そして、ドラッグストアで買い物をした袋の中から何かを取り出して戻ってくる。 　その手には、小さく平たい長方形の箱と、筒状の何かが収められていた。ひとまず土方は、小箱のほうはベッドサイドに放る。 　「…？それ、なんですか…？」 　 　市村は息が整わないまま、ぼんやり土方を見て問いかけた。 　「ん？男同士でやるとき必要なやつ」 　土方は、その筒状の物の透明ビニールを破り捨てると蓋を開けて、中でもったりと揺れるジェル状の液体を手のひらにとろとろと垂らした。温感タイプのローションだ。 　市村は、土方が手のひらで操るようにそれをたぷたぷと音を立てながら扱う姿に目を奪われている。 　それから、仰向けに寝かせた市村の太腿に手を滑らせて、尻の肉の奥に息づく、淡く色づいた窪みに触れる。途端、市村は目を見開いて体を強張らせた。 　「ひ…！」 　他人はおろか、自分ですら触れたことのない場所に、ローションをまとわりつかせた土方の、ごつごつとした指先が侵入してくる。 　アナルの縁を撫でられ、窪みを押すようにふにふにと刺激される恥ずかしさに加え、形容しがたい未知の感覚に、市村は顔を真っ赤にして耐えた。 　羞恥と、少なくない恐怖心に身を竦める市村が、不安げに、解されている箇所に視線を落としている様子が愛らしくて、土方は思わずくすりと笑った。 　初めての経験に怯える彼を宥めて、安心させるように頭を撫でてやってから、未姦通の小さな窪みに、ぬらぬらと濡れた人差し指の指先を埋め込む。 　「んァ」 　市村が異物感にびくついて声を上げる。粘膜が、ひくりと収縮した。狭くてきつい。 　ローションの潤滑の力を借りて、慣らすように浅く抜き差ししながら、徐々に指を中へと進めていく。 　「テツ、力抜け」 　「はあっ…ぁ…」 　土方にそう言われて、よく分からないまま市村はゆっくりと息を吐いた。 　それでも、できるだけ下肢に入る力を抜いて、侵入してくる土方の指を受け入れやすくする。 　締め付けが少し弱まったところで、土方は人差し指を根元まで埋め込むと、中指の先も差し入れた。 　「んや、あ」 　 　土方は、中を拡げるように、差し込んだ二本の指でアナルを割り開く。開かれた孔をとろとろと濡らすローションが、ぐちゅり、と粘質な音を立てた。　 　優しく解していくと、窄まりきっていた肉の輪がどんどん柔らかくなり、しまいには力を籠めればその通りに形を変えるようになった。 　土方の、長くて骨ばった指も、根元までみっちりと咥え込まれている。　 　絡みついてくる襞の動きを堪能するように、第二関節を折り曲げて中を引っ掻くように刺激すると、指の腹が、しこった一点を掠めた。丁度、ペニスの裏側あたりだ。 　「ンあ！」 　その瞬間に市村が、反射的に腰を浮かせて声を上げたので、土方は思わず指の動きを止めた。市村も、自分で自分の反応に驚いて、咄嗟に口元を手で覆った。 　「…っ？」 　一瞬走った、感じたことのない感覚に、市村は狼狽する。 　自分で前をいじるときには感じえなかった、なにか恐怖すら覚えるような快感だった。 　土方は市村のその様子を見て、唇の端をつり上げた。 　「へぇ…。テツのいいところはここか」 　先ほど同様、中で指を鉤状に曲げて、そのぷっくりとたしこりを引っ掻き、ぐにぐにと押し上げる。そのたびに、市村からあえやかな嬌声が上がった。 　「ああぁ、やぁ♡、ぅあんっ」 　今まで味わったことのない快感に全身が襲われて、市村はシーツを握りしめ、いやいやと綺麗な黒髪を振り乱して喘いだ。 　つま先まで甘く痺れるような感覚に体をくねらせるが、片手でとはいえ土方に腰を掴まれているので逃げることができない。 　土方は、その一点を集中的に攻め立てた。