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2ー5
「ンっ♡、う、だめ、おかしくなっちゃぅうっ♡!!」
涙を浮かべてそう訴えられたので、土方は手の動きをやめた。
中から沸き上がる疼くような快感に、射精して力を無くしていた市村のペニスは再び固さを取り戻して上を向いていた。その先端には先走りが滲んでいる。
土方は、ゆっくりと指を抜いた。
市村は、胸を大きく上下させて、目を瞑ったまま呼吸を整えている。
よく解れた窄まりが、物欲しそうにくぱくぱと、ゆっくり開閉していた。
「コレも使わなきゃな」
土方は、先ほどベッドサイドに投げ捨てた小箱を再び手に取って、その中からコンドームを取り出した。
密封してある袋を破いて、中からゴムを取り出すと慣れた手つきで装着する。
その様子を見て、市村は言った。
「僕、本物のコンドーム見たの初めてです…」
そう言われて、土方は唇の端をつり上げた。
…最初の男がオレなら、最後の男もオレでありたい。
今以上に離れられなくなるくらい、肌にも、体の奥にも、瞼の裏にさえ、オレのものである証を刻み付けてやりたい。
そう思いながら、ゴムをまとった自分のペニスに、市村の手を導いて触れさせる。
被膜一枚に隔てられていても分かる、興奮して脈打つ、太い熱の塊に、市村は期待と不安に小さく喉を鳴らした。
土方は、市村の両足を広げさせると、その間に体を押し進めて、十分に解れたローションまみれのアナルに、にゅちにゅちと音を立ててペニスを擦りつけた。
待ちわびるようにひくつく粘膜が愛おしい。
「テツの初めて貰うよ…」
そう言うと土方は、市村の太腿の付け根を押し広げ、自分のペニスを掴んで、その先端をアナルに押し当てると、ゆっくりと挿入した。
むっちりと柔く、熱を持って解れたそこが、みちみちと音を立てながら、幾重にも筋の浮いた土方の怒張を飲みこんでいく。
「ッあ、ああ…っ!!」
指とは比べ物にならない熱と質量をもったペニスが、襞を掻き分けながらずぶずぶと侵入してきて、市村は苦悶に眉を寄せた。
十分に解したおかげで、挿入に伴う痛みはそれほど多くないようだ。
初めてペニスを受け入れた肉の輪が、幹を食むように切なげに収縮を繰り返す。
市村は目を閉じて、肩ではくはくと息をしながら、自分の中に入ってきた土方の雄の熱さと猛りを、懸命に感じとっていた。
(先生の…おっきぃ…っ)
柔らかく解れているとはいえ、長大なそれが収まるにはやはり小さい穴だ。きつさに伴う苦しさはある。
しかし、それさえ何故か心地いい、と市村は思った。
この苦しさには、一つになっているという実感が湧く。
のしかかってくる土方の体重を受け止めながら、市村はぎゅうっとシーツを握り、熱い吐息をこぼした。
「痛いか?」
「痛く、ないです…。あつくて、かたくて、すごい…っ」
「中にオレがいるの分かるか」
ずっぽりと、互いの下生えが密着して擦れるほどにペニスを根元まで埋め込んで、一度強く突き上げてやると、市村は顔を歪ませて背を反らした。
「やあァっ…!!」
そのままゆさゆさと抜き差ししながら、市村の下腹部に手を当ててさすってやると、市村が土方の手を力なく握ってくる。
「んっ…、せんせいのが、僕の中にはいってる…っ」
虚ろな眸に涙を浮かべて熱っぽくそう言われ、土方は唇を舐めた。
更に腰を使って揺さぶってやれば、市村も、土方の動きに合わせるかのように無意識に腰を揺らしてくる。
こんなにあどけない体をして、大人顔負けの艶めかしい動きをしてくる姿に喉が鳴った。
顔を覗き込んでやれば、眉尻を下げて感じ入っている蕩けた表情が覗き、ますますペニスに血が上る。
「初めてなのに、気持ちよくて仕方ないって顔してる…。なあ」
「や…」
土方が耳元で、甘く低くそう囁いてやると、市村は恥ずかしそうに顔を逸らした。ぱさりとシーツに黒髪が散る。
土方はそんな市村の顎を掴んで自分のほうに向かせると、半開きの唇に唇を押し当てて、強引に舌を捻じ込んだ。
舌を絡ませて、唾液を送り込めば、市村の喉がごくりと動く。
その様子に支配欲が掻き立てられて、ぞくりとしてしまう。
「ふあ、あ…♡」
深く口づけしたままで再び抽挿を始めると、市村はシーツを握っていた手を開いて、土方の大きくて広い、逞しい背中を愛し気に撫ぜた。
「せんせ…っ、ひじかたせんせえ…」
「ん…?」
「僕もっと、先生のこと知りたいです…。だから…」
「だから…?」
「だめになっちゃうくらい、めちゃくちゃにしてください…」
「……お前さあ」
土方は覆いかぶさっていた上体を上げると、市村の華奢な腰を両手で掴んで強く引き寄せた。
ずり上がっていた市村の体が、シーツに引き皺を作って、ぐい、と強引に手繰り寄せられる。
「大人をあんまり煽るんじゃねえぞ」
「っあ゙!♡」
「優しくしてやろうと思ったのによ…!」
「!んああっ…!!」
先ほどまでのゆるやかなグラインドとは打って変わって、腰の動きが急に乱暴で激しくなる。
貪るような腰遣いに、肌と肌がぶつかり合う乾いた音。そこに、ローションがぐちゃぐちゃにかき回される粘質な音も綯い交ぜになって、土方の興奮を更に煽る。
市村の中は、たった数刻前まで何も知らなかったはずなのに、まるでうねるように土方のペニスに絡みついてきて、搾精したいとばかりにきゅうきゅうと幹を絞り上げる。
気を抜くとすぐに果ててしまいそうだが、それは市村も同じだった。
土方が突き上げる速度を上げると、それに合わせるように市村もより煽情的に足を左右に開いて腰を浮かせてくる。
その、懸命に快楽を享受する姿に愛しさが込み上げる。
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