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大河の温もりが一層感じられる。 姫宮にとって望んでいた幸せだった。それはこれ以上望んではならない今の最大限のもので、できることならばずっとこうしていたい。 ──と、思ってしまったのがいけなかったのだろうか。 前述上げたように、大河は普段遊んでいること、身の回りの世話を姫宮に要求してくる。 最初のうちは喜んで、安野達と家事をしていようが、最近また新しいのを編み始めたことをしていようが、大河の言うことを最優先していた。 ところが、その要求の頻度があまりにも多いように思えたのだ。 これはさすがに言わねばならないことだろうか。 「──今までだったらありえない、いつでもどこでも呼んでは甘えてくるうちの子可愛いって? ぜーたくな悩みですね、ママさまは」 小口にそれとなく胸の内を話すと、やれやれと言わんばかりに横に振った。 ちなみに小口は大河の世話することがほぼなくなった代わりに、免除してもらっていた仕事をするように言われているようだったが、休憩中と言って姫宮の部屋に来ていた。 これはきっと安野から逃げているか、サボりなのだろう。 「今まで構ってくれなくてさみしーって言ってたの誰です?」 「寂しいとまでは言ってないと思いますが⋯⋯」 「いいじゃないですか。恥ずかしがって無視されるよりは。それに大きくなるにつれて構ってくれなくなるみたいですよ。ですから、今のうちに甘えてくるのを思う存分甘えさせればいいと思いますが」 「⋯まぁ、そうですよね」 容易に触れ合うこともできなかった我が子が、ひとときも離れたくない距離感になったのだ。小口が言ったようにこの悩みは贅沢だと言うのなら、これからも大河の要求を受け入れるべきかと自分の中でそう結論づけた。

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