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「ま、それでも負担になるようでしたらいつでも言ってください。元々大河さまの世話をしていたんで」
「⋯⋯今までよりも大変になるかと思いますが⋯⋯」
そう思わず言ってしまうのは、大河がコアラのようにしがみついて離れようとしないことが多くなったからだ。
小口が無理やり引き剥がす事態になっても、大河も対抗してより姫宮にしがみついてくるものだから、大河が充分に満足してからでないと無理だと判断し、大河の好きにさせていた。
「そんなこと、いまに始まったことじゃないじゃないですか」
小口はあっけらかんと言った。
「前から大河さまが思っていることとは違うことを言って怒らせたり、物で殴られたり、引っかかれたりもしましたし、いつもの大変さですよ」
「⋯⋯あ⋯⋯その節々は大変ご迷惑をおかけしました」
「謝り損ですよ。元はと言えばわたしがからかうようなことを言うからですし。ま、からかい甲斐のある弟みたいなもんですよ」
「弟とはいえずいぶん年の離れていますし、そもそもわたしのような立場で言われるのは嫌かもしれませんが」と付け加えた。
常々思っていることがとうとう本人の口から言う日がくるとは。
いえ、と否定しかけたものの、これは彼女なりの気遣いだと思われる言葉だと気づいた時、姫宮は素直にこう言った。
「⋯⋯では、その時はよろしくお願いします」
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