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第39話 ※
「どうだ?」
「う……ん。きもち、い」
でも、正直指だけでは物足りない。もっと、別のものを挿れてほしい。けどそんなはしたないこと、自分から言ってもいいんだろうか? 僕はジスを愛しているのに、自分から王子を求めてもいいのだろうか?
頭の中が葛藤に渦巻き、発情期のせいで頭がぽーっとしている間に、王子は僕の蕾に指ではないものをあてがった。
「ふぁ……ぁあん」
ぐりぐりと先端のくびれを入口で擦られ、僕の身体はぴくぴくと痙攣し始める。
「挿れるぞ」
その時が、来たんだ……。
ぐ、と王子の腰が僕のおしりと密着する。最奥にあたる王子のものの先端。ジスのも大きくて太かったけど、王子のもおっきくて、熱くて太い……。
ぐり、と僕の胎内の中の1点を王子のものの先端が押した。
「ひ……っ」
じわ、と自身のものの先端から先走りが溢れる。
なに、これ。すごくきもちいい。
「ここか」
「ゃあ……ダメっ……そこ……」
王子は執拗にその1点を穿ち始める。そのたびに僕の下半身はぐずぐずにとろけていく。僕は涎が止まらなくて、開いた口をそのままに声を洩らす。
だってこんなにきもちいいの、知らない。
肌と肌のぶつかる濡れた音ばかりが耳を犯す。
「……出す、ぞ」
胎内の奥で王子のものが震えた。どぷどぷと白蜜が胎内に溢れるのを感じた。王子のものが少し柔らかくなってきた。
長かったな。きっとたくさん出された……。
王子が自らのものを僕の蕾から引き抜くと、ごぽ、という粘着質な音を立てて白蜜がベッドに垂れた。
「……泣いているのか?」
「え……」
王子の指摘で気づいた。僕は泣いていた。
なんで、僕は泣いてるんだろう……。
「泣くほど気持ちよかったのか、泣くほど嫌だったのか」
自嘲的な笑いを含んで王子が呟く。
「ち、違う! 嫌じゃない……」
そう。嫌だとかそんなんじゃなくて……。僕は王子の身体をジスだと思い込んでしてしまったんだ。それが、人として申し訳なくて、ジスにも申し訳ない。王子にも申し訳ない。
自らを責めるしかないんだ……。
王子はそんな僕の背中をトントンと優しく叩いてくれる。
「発情期には情緒も安定しにくいと聞く。王宮に来たばかりで、知り合いも俺ときなこしかいなくて、疲労が溜まっていたのだろう。お前の発情期は治まったようだから、俺も部屋に戻る。その前に、温めたタオルでお前の身体を拭かせてくれ」
「……うん。ありがとう……」
王子は浴室から湯につけて温めたタオルで、僕のぐしょぐしょになった下半身や、涙でぐちゃぐちゃの顔を拭ってくれた。
「よく休むといい」
王子は部屋を後にした。その時の王子の表情はよく見えなかったが、僕はもう何も考えることもできないくらいに脳が一時停止していた。薄ぼんやりとする暗闇の中に意識を手放す。
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