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2夜

 その日、目が覚めるとヒカルは確かに学校の教室で授業を受けていました。  授業中に居眠りをしていたようです。  授業の内容がさっぱり頭に入ってこなくてぼんやりと窓の外を眺めます。   あっ、カミニシさん   こんなところで何してるの  窓の外から白い猫を抱いたカミニシが教室を覗き込んでいます。  カミニシの髪は今日は腕に抱いた猫と同じ白い色でとても短くなっています。  どのくらい短いかと言うと、横は耳が見ていますし、後ろは綺麗な首筋が露わです。   ヒカルこそ、なにしているんですか、こんなところで   何って、学校だよ   勉強しているに決まっているじゃない   今、授業中なんだからみんなの邪魔しちゃだめだよ   勉強?   こんなに気持ちの良い日なのに?   学校では勉強することに決まっているのですか?   え?えっと、えっと、するのは勉強だけではないけれど  カミニシは脇の下に手を入れ、長く伸び切ってしまった猫を差し出してきます。  白猫が不満げにフンと鼻を鳴らすので、ヒカルは慌てて猫を受け取りました。   ねぇ、ヒカル   そんなことより、私の庭で一緒にお茶を飲んで、散歩をしましょうよ   ダメだよ   いいんです  その言い方がおかしくてヒカルは猫を机の上に座らせながらうふふ、と笑いました。  白猫はツンと澄ましてくるりと尻尾を自分の足に巻き付けます。   さあ、こちらへいらっしゃい  そう言ってカミニシが窓の外から手を伸ばしてくるのでヒカルは窓によじ上り、その腕に体を預けました。     ああ、ヒカルは本当に美しいね  ヒョイと、白猫の代わりにヒカルを抱き上げるとカミニシはちゅ、と柔らかい頬にキスをします。  抱え上げられて窓の外に出ると、そこはもうカミニシの庭でした。  胸に抱かれて、ヒカリはカミニシの白い髪をサラサラと撫でます。   今日は白い髪だね   ええ、ヒカルはどっちの私が好きですか?   私はヒカルに大好きになってもらいたいんです   どっちも大好きだよ   カミニシさんは、カミニシさんだもの  そう答えると、カミニシは嬉しそうに笑いました。

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