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7夜

 次に目が覚めた時、カミニシがヒカルの胸の上に頭を乗せて、こちらを見つめていました。  ヒカルはカミニシと同じくらいか、少し年上の男性になっています。   おはよう、ヒカル   おはよう、カミニシさん   ずっと僕の顔を見ていたの?   ええ、君の寝顔はとても美しいからね  ヒカルは優しくほほ笑みました。   また庭を散歩しようか   ええ、もちろん  二人は月の明りの中を腕を組んでゆっくりと歩きます。   猫が見当たらないね  ヒカルは少し悲し気に言いました。   きっと恋人ができたんですよ   そうだといいけど     どうしてそんな悲しい顔をするんだい、ヒカル?   猫は死ぬ前に姿を消すって言うだろう?   ヒカルは寂しいんだね?   そうだね、少し   今日はカミニシさんを抱きたいな   嬉しい、ヒカルが私を抱いてくれるなんて  いつの間にか部屋に戻っていた二人は優しく口付け合います。   先にベッドに行って待っていて下さい  カミニシはヒカルの頬を両手で包むとそう言いました。   カミニシさん、早くね   今すぐあなたを抱きたいから   ええ、わかっています   すぐに行きますよ  カミニシは艶やかな黒髪を濡らしてすぐにヒカルの待つベッドへやってきました。  ヒカルは両手を広げてカミニシを腕の中に迎えます。   カミニシさん、いい匂いだね  ヒカルはふふ、と笑ってすべすべとした黒髪を口に含みました。   ああ、ヒカル   私を今日は奥まで抱いて下さい  ヒカルはカミニシの浴衣の前をはだけると乳首をそっと吸ってみました。   んっ  それだけでカミニシの口から喘ぎ声が洩れます。  桃色の乳首を指先で撫でるとすぐに固くとがってきます。   ああっ、ヒカル   そんなに気持ちがいいの?   すごくコリコリしてるね  カミニシの唇からは、あ、はぁ、と返事のようなただの喘ぎ声のような声が洩れるばかりです。  ヒカルはカミニシの乳首を咥えながらペニスに触れてみました。   はぁっ、ヒカルっ  ビクビクとカミニシのペニスが脈打ちます。   カミニシさん、先がすごく濡れてる   んっ、もう、出そうです  いつものカミニシとはまるで違う人のように甘く切なく呻いています。  ヒカルはそっとカミニシをベッドに寝かせるといつもしてくれるようにそっと指を中に滑り込ませました。   ああー  カミニシが大きく声を上げ、ヒクヒクと下腹を震わせ体を(よじ)ります。  ヒカルはカミニシの固いペニスを口に含み舌を這わせました。   ダメダメ、ヒカルっ   気持ちが良すぎます  カミニシの匂いと味を喉の奥いっぱいに感じてヒカルは嬉しくなりました。   気持ちいいんだね?  ヒカルは囁きました。   あんまり見ないで下さい  今日のカミニシはひどく恥じらい顔を隠しています。   ダメだよ、顔を隠さないで   よく見せて  ヒカルはそっとカミニシの腕をほどくと深く深く口づけながら、ゆっくりとペニスを挿入しました。   んんんっ  カミニシが涙を零しながらヒカルを迎え入れ包み締め付けます。   ああ、お尻に挿入(はい)るのはこんなにも気持ちがいいんだね  ヒカルはうっとりとしながら、腰を動かしました。   ほら、今日は僕がカミニシさんを擦ってあげるよ   どこに欲しいか言ってみて   奥に   ここかな?  ヒカルは固いペニスでカミニシの奥を突き上げました。   ヒカルっ、すごいっ  カミニシが泣き声を上げながらもさらに腰を上げて深くまで迎え入れます。   ああ、カミニシさんっ   そんなに吸い付いたら、出ちゃうよっ   ああー、ヒカルっ   君の愛を私の一番奥に注ぎ込んでっ      んっ、出すよっ   たくさん注いであげるっ  ヒカルは叫んで恐ろしいほどの快感に思い切りカミニシの中に射精し、カミニシは身体を震わせ白い液を迸らせました。  しばらく2人はお互いの荒い息を聴きながら汗ばんだ肌を愛し気に、そして名残惜し気に撫で合いました。   カミニシさん、あなたは僕を迎えに来た死神だね   違うかい?    ヒカルは胸の上に乗せたカミニシの頭を撫でながらそう呟きました。   そうです   ああ、あなたは本当に素晴らしい   今まで誰も私の本当の姿に気づいた人はいなかった   僕はもう死んだの?   ええ   そしてこれから生まれ変わるんです   二人でトンボの(つがい)を見たのを覚えていますか?   もちろんだよ   ハートの形をして飛んでいた   とても美しかった   私は人の息が止まり、次に生まれ変わるまでのほんの一瞬、一つだけその人の願いを叶え  ることができるんです   一瞬?   そう、これはほんの一瞬   君はまだ小さく、とても純粋でした   君の最後の願いは猫をその手に抱きしめることだった   なんてささやかで可愛らしい願いだったことだろう  カミニシの手が頬に触れ、ヒカルはその手に顔を摺り寄せました。   私はつい、あまりにも美しく可愛らしい君をこの手に抱きしめたいと思ってしまった   いいえ、僕があなたに恋をして愛したんだよ   一目見てあなたを好きになった   ああ、そうだね   私たちは一目見た時からお互いを心から愛したね   このまま一緒に、ずっとここで愛し合おうよ   僕はあなたのお嫁さんのままでいたい   いいえ、それはできない   今日が君のここでの最後の日だよ   どうして   君は生まれ変わって今度は本当に素敵な恋をするんです   生きて、愛する人を見つけ、添い遂げる   そしたらまたあなたに会える?   ああ、そうだね、いつかまた会えるかもしれない   でもその時にはもう私のことは忘れてしまっているさ   絶対に忘れない   またあなたに会いに来るよ、何度でも   そしてあなたに恋をして、愛する   何度もあなたの花嫁になるよ   だからきっと待っていて   そうだね、きっと待っているよ   さあ、もうお別れです   最後にして欲しいことはあるかい?   僕を最初にあなたに会った時の姿に戻して   そして抱きしめていて   ああ、私の可愛いヒカル   私の愛しい(ひと)   こちらへいらっしゃい  いつの間にかヒカルは小さい子供の姿に戻ってカミニシの腕の中にいました   またカミニシさんのお嫁さんになりに来るよ   決して忘れないで  最後にそう言うとヒカルは本当に光り輝く光となって、そしてカミニシの腕の中から消えてしまいました。

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