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1-5【※】
「はぁ、ユーグ――」
まるで熱に浮かされているかのような声で、ルーが俺のことを呼び、強く求めるように口づけてくる。
かと思えば、やつは移動して俺の身体の上に跨ってきた。
「ユーグ、本当に可愛いな。ひどくしちゃいそうだ」
「んっ」
角度を変えて、何度も何度も唇を合わせる。ちゅっと音を立てて口づけて、俺はさらなる刺激を求めるように唇を開いた。
すると、求めていたルーの舌が俺の口内に入ってくる。厚ぼったいルーの舌は俺の口腔内をかき回す。頬の内側をつついたかと思うと、歯列を舐められてしまう。舌先をつつかれ、俺は自らルーの舌に自らの舌を絡める。
「ルー、もっと欲しい……」
自分でも驚くほどに、俺の声は甘ったるい。
心のどこかで他人事のように俺を見ている自分がいる。「まるで女みたいだな」――と、そいつは俺に囁いた。
でも、いいんだ。美形の男に強く求められ、抱かれていることに幸せを覚えている。本当にちょろくて都合のいい存在。
(面倒ではあるけど)
ただ、セックスをしているときだけは必要とされていると錯覚することが出来た。
一人じゃないという実感を俺に与えてくれている。
まぁ、セフレというかこういうことをする相手はルーしかいないんだけど。
「あんまりそういうことを言うな」
「言うよ。だって、煽ってるから」
ルーの目をまっすぐに見つめ、はっきりと告げる。ルーはなにかに耐えるような表情を浮かべたあと、にたりと笑う。色っぽくて、俺の心臓が跳ねる。
「今日はひどくされたい気分なのか?」
やつの問いかけに、俺は困った。
別にひどくされたい気分というわけではない。人肌恋しいだけだ。
「違う。人肌恋しいだけ。ね、ルー。――いっぱい愛してよ」
ルーの後頭部に腕を回して、顔を引き寄せて自ら口づける。ルーの唇の端が上がったのがわかった。
「いいよ、愛してやる。後悔しても知らないからな」
俺にだけ聞こえるような声量で囁き、ルーは俺の唇を舌でなぞった。
また口腔内に舌を差し込まれ、舌を絡め合う。くちゅくちゅと水音を立てながら、ひたすら互いを求めあった。
唾液を交換するかのように激しく口づけて、口の中に溜まっていくルーの唾液を飲み干す。
身体の芯がどんどん熱くなる。俺の陰茎はすっかり硬くなっているようだ。頭がぼうっとするほどに、気持ちのいいキス。
「んっ」
いきなり衣服をまくられ、胸元を露わにされた。女のようなふくらみのない平らな胸。ルーに比べて薄くて筋肉もない。
男らしくもなく、女らしさもない微妙な胸だ。
「ユーグ。ほらここ、硬くなってる」
ルーの指先が、俺の胸のとがりを捉えた。コリコリと弄られ、身体の中心がじんじんとする。息が荒くなって、浅ましくももっと強い刺激を求める。
――ルーの手で乱されたい。
すっかり快楽を教え込まれ、俺の身体は淫らになっていく。
(初めの頃は乳首で感じるなんて考えもしなかったのに――)
そんなの女だけだって思ってた。けど、男も乳首で感じることが出来るんだって知った。
ルーが爪で先端をひっかいた。喉が鳴る。背中をのけぞらし、ルーの頭を抱き込んだ。
「なに、舐めてほしいの?」
俺の顔を見て、ルーが問いかけてくる。
刺激されている乳首は片方だけ。もう片方は触ってほしいとツンと上を向くだけ。
「ぅん、舐めて――」
首を縦に振り、ルーの口元に空いている乳首を押し付ける。瞬間、舌先でちろちろと刺激されていく。
気持ちいい――と思うのに、身体は貪欲にもっと強い快楽を求めていた。
「っはぁ、ルー、いじわる……」
胸焼けしそうなほどに甘ったるい声で抗議をすると、ルーが乳首を唇で挟み、くわえ込む。
熱いルーの口内で唾液を舌で塗りつけられていく。さらには舌先でつつかれて、唇全体を使ってじゅうっと吸い上げる。
「ぁあっ!」
目の奥がちかちかとして、快楽から下肢に熱が溜まり燻ぶる。まだ一度も触れていないはずの陰茎が、先走りをドロドロに垂らしている。下穿きの中は大変なことになっているはずだ。
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