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1-6【※】

「ルー」  小さな声でルーのことを呼ぶ。  ルーは俺のことをちらりと見たものの、気に留める様子はない。舌先を動かし、俺の乳首への愛撫を続ける。 「ぁ、っはぁ、あぅ」  ルーの口の中、気持ちいい――。  口から艶めかしい息が漏れ、俺の手は寝台にかけられたぼろぼろのシーツを指先で掻いていた。  ルーがもう片方の手で、俺のもう一つの乳首を弄っている。ぎゅっとつままれて、自然と背中がのけ反った。 「ユーグ。もうそろそろ、こっちも触っていいか?」  スラックス越しに俺の陰茎を撫で、ルーが問いかける。ささやかな刺激で、俺の陰茎から先走りがさらに零れ出る。  ――触ってほしい。 「触って、いっぱい、触って――!」  歪んだ視界の中ルーを見つめ、恥ずかしげもなく言葉を口にする。  やつは声を上げ笑った後、俺のスラックスを勢いよくずり下ろす。流れるような動きで下穿きも脱がせ、俺の陰茎を見つめる。 「もう硬くなってるな。こんな風に、勃たせてさ」 「ぅ」  大きな手が俺の陰茎の竿を掴む。ルーは手のひらに先走りを絡め、手を動かし始めた。竿全体に先走りを馴染ませるように手を動かされ、腰が跳ねる。  それに――。 (尻がすっごい疼く……)  後ろの窄まりがきゅうっと締まっているような気がする。 「な、ルー」  ルーを呼ぶ声にも切なさがこもる。正直、前でイクよりも後ろでイキたい。ルーの太い肉棒と指で絶頂に押し上げられてしまいたい。 「ユーグ、言ってくれないとわからない」  俺の目を見てルーが言う。  ルーと俺が身体の関係を持って三年。やつは俺の感じるところ、してほしいこと。全部理解している。  つまり、言わないとわからないはずがない。  そう――ルーは俺のことをいじめて楽しんでいる。 「い、じわるっ――!」  指先が俺の陰茎の先っぽ――鈴口を刺激する。襲い来る吐精感。身を任せたいと願う気持ちを押し殺すように息を吐く。  落ち着け、落ち着け。まだ、出したくない――。 「なんだ、ユーグ? ほら、このままだと前だけでイっちゃうぞ」  ルーの端正な顔が俺の陰茎に近づいていく。やつのきれいな顔にくぎ付けになっていると、ルーの舌が俺の陰茎の裏筋を舐める。  さらに大きく口を開け、俺の陰茎をくわえ込んだ。熱くてぬるついた舌をこすりつけられてしまう。 「ぁあっ! ルー、ルー……!」  じゅぼっと音を立てるかのように、ルーが俺の陰茎を吸い上げた。  ダメだ。もう、本当にダメだって――! 「やだぁっ! ルー、触って、後ろ、後ろがいい……!」  首を横に振って、指先でシーツを掻く。  ルーがじゅぼっと音を立てて陰茎を吸い上げるたびに、身体がびくびくと反応する。  頭の中が真っ白になって、吐精したいという気持ち以外が消えていく。 「ははっ。ユーグそんなに必死になってさぁ。本当、淫乱だな」  俺の陰茎から口を離して、ルーが笑う。そして、俺の身体をくるっとひっくり返した。  腰を抱き上げられ、尻を突き出すような体勢にされてしまう。 「こんな風に尻を突き出してると、本当に淫乱っぽいよな」 「そ、それはルーのせいだ!」  俺の尻を撫でまわしてつぶやくルーに、俺は反論する。  だって、そうじゃないか。ルーがいっぱい俺に快楽を教え込んだ。後孔の気持ちよさを教え込んだのはコイツだ。 「そうだな。俺のせいだ。なぁ、ユーグ」  ルーが俺の背中に覆いかぶさってくる。やつはこの体勢のまま寝台の上にある瓶を手に取った。ふたを開け、中身を指に垂らす。中身は俺の大好きな媚薬入りの潤滑油だ。 「こんなに後ろで気持ちよくなるのって、ある意味才能だと思うけど」 「んっ」  ぬるついた指が俺の背中を撫でた。ツーッと背骨を撫でるようにたどられて、今度は腰を撫でられてしまう。  刺激されていない陰茎が反応したのがわかってしまう。 「なぁなぁ、ユーグ」  俺の陰茎をルーの手がつかんだ。塗りたくられているのは先走りじゃない。先ほどの潤滑油。しかも、媚薬入り。 「これで前、弄ろうか」  耳元で甘く囁かれて、俺はぐっと枕に顔を押し付けた。  俺の陰茎を離さないルーの手。絶え間なく刺激され、あっという間に上り詰めそうになる。  だって、そうじゃないか。ついさっきまで弄られていたのだ。もう、吐精する準備は万端だ。 「だ、だめ、やだぁっ! ルー、やめ、やめて――!」 「やだな。ほら、思いっきり前で出そうな。思いきり出したらこっちでも十分気持ちいいって」  嫌だった。だって、前でイクのは一人でだって出来る。ルーがいるのに、一人でも出来ることをしたくない。 (俺はっ、ルーに後ろを弄ってもらうのが好きなんだっ……!)  自分でも淫乱なことを思っているとわかっている。でも、俺はっ! 「う、ぁああっ!」  頭とは違って、身体は素直だった。  抗う間もなく絶頂に押し上げられ、鈴口から白濁が飛び出ていく。 「いっぱいだそうな」 「ん、んぅ」  まるで最後の一滴まで絞り出そうとするかのように、ルーが手を動かす。  しばらく処理をしていなかったせいなのか、白濁があふれる時間は普段よりもずっと長かった。

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