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3-11【※】
亜玲の手が肌を滑って、俺の尻に触れた。衣服の上から孔をくすぐられ、身体にぞわぞわとしたものが這いまわった。
「んっ、や……!」
首を必死に横に振ると、亜玲がくすくすと声を上げて笑う。
「この刺激が好きなんだね」
まるで後孔に挿るみたいに、指が動き出す。衣服越しだから、挿るわけないのに。
――その動きだけで、興奮が高まっていく。
身体が震えて、自然と腰が動いた。
「こっちもすっごいことになってそうだよ」
もう片方の手で、俺の下肢をまさぐりながら、亜玲が耳元で甘くささやく。
「準備万端って感じだね。……脱がせていい?」
魅了されたみたいだ。自分の気持ちを関係なく、首を縦に振ってしまう。
俺の動きを見て、亜玲が唇を歪めた。手早く俺のベルトをはずすと、俺に膝立ちになるように言ってきた。
「じゃないと、脱がせられないでしょ?」
あらがう気力もなく、亜玲の言葉通りに膝立ちになる。デニムと下着をずり下ろされ、露わになる下半身は――興奮を隠すつもりもないようで。上を向いた陰茎はだらだらと先走りをこぼしていた。
キスをして、後孔を布越しにいじられただけだというのに。
「期待してるみたいだね。……前、触ってほしい?」
亜玲が視線を絡めてくる。手のひらは陰茎に触れるか触れないかの位置でストップしていた。
「い、じわる」
「そうだよ。好きな子はいじめたいタイプなの」
軽く指先でつつかれただけで、もっと先走りがあふれてくる。目に涙が浮かんで、視界がゆがんだ。
「泣き顔可愛すぎるよ。……こんなの、ほかのやつに見せたくない」
かみつくようなキスをされた。
亜玲の唾液は甘かった。癖になってしまいそうで、怖い。
「あ、れい」
「うん」
「触って……」
消え入りそうな声で訴えると、目の前の整った顔がにこりと笑みを浮かべる。
そして、手のひらで肉棒を包み込んだ。上下にしごかれて、背をのけぞらせる。
「すごい、もっと硬くなってきた。……気持ちいいんだね」
亜玲のきれいな手が俺のモノをしごいているという光景は、視覚的にも淫靡だった。
涙がはらりとこぼれていく。
「気持ちよすぎて泣いちゃってる。……涙、舐めるね」
俺の頬を亜玲の舌が這う。あふれる涙はひとつ残らず亜玲になめとられていく。
たったそれだけで、身体の奥が沸騰する。もっともっと――って、強請りそうになる。
「美味しい。祈はどこもかしこも美味しい。……いっそ、頭から食べてしまいたい」
冗談のはずなのに、そう思えないのはなぜなのか――。
(だめ、やだ、こんなのだめだって)
理性がブレーキをかけようとする。でも、ブレーキはきかない。
さらに腰が揺れて、亜玲の手のひらに自らのモノをこすりつけていく。
「とってもいやらしい動き。……でも、待つんだよ」
亜玲が俺の陰茎から手を離す。中途半端に昂った身体につられ、頭も快楽を求めている。
自らの手でしごこうとして、亜玲に手首をつかまれた。
「自分で触ったらだめだよ」
強い眼力にひるんで、こくりと息を呑む。
亜玲は室内をぐるりと見渡し、戸棚に置いてある缶を手に取る。
「これなら大丈夫かも」
蓋を開けて、中のものを指で掬い上げた。
乳白色のハンドクリームが亜玲の指に絡んでいく。
「後ろほぐすね」
ハンドクリームをまとった亜玲の指は、孔のふちをくすぐった。
あと少しで挿りそうなのに――。
「俺の肩に手をついて、膝立ちになって」
頭も身体も亜玲の言いなりになっている。結局、オメガはアルファには逆らえないのだろう。
亜玲の指定する体勢になると、後孔に指が押し込まれた。
「――んぁっ!」
二本の指を押し込まれ、身体を強引に開かれていく。
この間まで、後ろなんていじったこともなかった。気持ちいいはずないと思っていた。
なのに――今の俺は感じていた。
はじめて身体を重ねたときのことを思い出して、身体の内側がきゅんとする。亜玲の指をぎゅうっと締めつけた。
「すっごく吸い付いてくるよ。気持ちいい?」
亜玲が俺の顔を見上げ、問いかける。
唇をぐっと噛む。そうしないと、「気持ちいい」と口走ってしまいそうだった。
(やだ。言いたくない。気持ちいいなんて、言葉にしたくない)
後ろで感じているなんて、ばれたくない――。
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