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3-12【※】
「祈」
優しい声に喉が鳴る。
亜玲の期待を宿した双眸が俺を見ている。
たったそれだけで、俺の身体は反応してしまった。腹の奥底がうずいて、指以上に太いものが欲しくてたまらなくなる。
「――気持ちいい?」
甘くて堕とすような声で問いかけられたら――もう、我慢できない。
首を縦に何度も振った。
「気持ちいい、きもちいい、から」
言葉にしたら余計に実感して、亜玲の指を締め付けてしまう。
下半身からぐちゅぐちゅって音がする。淫靡な音は耳を犯し、俺の興奮をどんどん高めていった。
亜玲の肩をつかむ手に力がこもる。爪を食い込ませてしまうが、亜玲はなにも言わなかった。
「そうだね。気持ちいいね」
俺の言葉に同意しつつも、孔に埋まる指は遠慮がない。容赦なく掻きまわして、俺の理性をドロドロに溶かしていく。
「キスしようか。こっち向いて」
まるで導かれるみたいに、自ら唇を重ねていた。
俺は一体どうしてしまったのだろうか。これじゃあ亜玲におぼれているみたいじゃないか……。
「可愛い。一回イっておく? それとも、もうほしい?」
双眸を細め、亜玲が問いかけた。
「ほしい」がなにを表しているのか。当然わかる。
想像だけで後孔が引くついた。
(あれいの、ほしい。……奥、気持ちよくしてほしい)
指じゃ届かない部分まで刺激してほしい――。
頭の中に欲望が芽生え、膨れ上がる。気づくと、欲望一色になっていた。
「も、いれて」
自分も知らない甘い声で、亜玲に強請った。
「おく、せつないから……」
亜玲の背中に腕を回す。
俺のオメガとしての本能が、目の前のアルファを求めていた。
「そっか。じゃあ、挿れてあげる。祈、ちょっと腰上げててね」
「ん」
言われたとおりにすると、亜玲が自らのモノを取り出した。
昂ったソレからは亜玲の興奮が伝わってくるみたいだ。
(俺がこんなに大きくしたんだ……)
生唾を呑み込んでしまう。
亜玲はポケットから避妊具を取り出して、手早くつけた。
そして、俺の腰をつかむ。
「このまま腰下ろして」
「け、ど」
「大丈夫。支えておくから」
冷静な思考など、なかった。
亜玲の言うとおりにして、早く快楽が欲しかった。
ゆっくり腰を落としていく。
「そう、上手。……もうちょっと」
陰茎の先端が俺の孔に触れたのがわかった。
そのまま腰を落として、先端を呑み込む。少し苦しかったけど、そこからは楽だった。
亜玲のモノを根元まで呑み込む。顔をあげると、亜玲の欲望に濡れた瞳と目が合う。
「祈のナカ、すごく気持ちいいよ」
大きな手のひらが俺の頬を撫でた。
「顔は赤くて、目はうるんでる」
「んぁ」
そんなことより、動いてほしい――。
「ふふっ、腰が揺れてるね。いいよ。動いてあげる」
亜玲が俺の腰をつかんで固定した。
「ぁああっ――!」
いきなり突き上げられ、大きな声があふれた。
「や、あれい、だめ、もっとゆっくり――」
「いやだ。祈も嬉しそうじゃんか」
俺の言葉を蹴り飛ばし、亜玲は容赦なく突き上げてきた。
大きすぎる刺激に背中がのけぞって、喉をさらす。
「ひゃっ、つよ」
「うん、気持ちいいね。気持ちよくておかしくなっちゃいそうだね」
亜玲の手が尻たぶをつかむ。指先が結合部を刺激すると、恥ずかしさとか気持ちよさとか。ぐちゃぐちゃになった感情に襲われた。
「ぁ、だめ、いや、いく」
首を必死に横に振る。やめてやめて――と伝えているのに、亜玲の動きは止まらない。
「何回イってもいいよ。祈がイクとすごく締まって気持ちいいんだ」
亜玲の先端が奥をぐりっと刺激した。
瞬間、頭の中で快楽が爆ぜる。ぱちぱちって火花が散って、身体の内側がきゅうっと締まる。
「本当、よく締まってる。おれも、もう、いっちゃいそう……」
余裕のない声が俺の欲望を揺さぶった。
気づくと亜玲に抱き着いて、自らも腰を動かしていた。
「祈?」
「あれいも、いって――」
いいところにあたるたびに、俺自身は軽くイっている。
けど、亜玲にも気持ちよくなってもらいたい。
「ほんっとうに祈ってバカ。こんなの理性飛ばすなっていうほうが無理――」
「ひゃ、ぁああっ!」
亜玲の荒い一突きに今までで一番大きな絶頂を迎え、俺は亜玲の胸に身体を預けた。
乱れた呼吸を整えていると、亜玲の腕が俺の背中に回る。強く強く抱きしめてきた。
「おれ、もうだめ。――祈のこと、なにがあっても離してあげられない」
すがるような手と声に、俺は反応できなかった。
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