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第11話
僕の身体、ガリガリだから抱き心地が悪いよね。胸板も真っ平らだし、撫でても気持ちよくないよね。人に触られるの、初めてだ。ど、うしたらいいんだろう。どうしたら、陽色くんに気持ちいいって、楽しんでもらえるんだろう。大人らしく、僕がリードしなきゃいけないのに。さっきから、おろおろして、シーツにしがみついてるばっかりだ。
「春さん、今、何考えてる?」
「な、んか、申し訳なくて。ごめ、ん。ひ、ひいろくんの、好きにしていいから。ごめん」
こんなことなら、もっと、学んでおくべきだった。怖くて、ずっとそういうこと避けてたから、多分、普通の人よりも経験がない。
(陽色くんに気持ちよくなってほしいのに)
いっそ、発情してしまった方が、楽かもしれない。それなのに、今日に限って、抑制剤がよく効いている。いつまでも頭は冷静なままだ。
「泣かないでよ、春さん。――ほら、手はこっち」
促され、両腕を陽色くんの首に回す。情けなくて、こんなことじゃ、嫌われるんじゃないかって不安でたまらない。
陽色くんは、涙で濡れた僕の頬を撫でそこに唇を落とした。チュとリップ音が耳に直接響いて、なんだかくすぐったい。そのまま、耳の後ろ、首筋、たくさんキスをくれた。
段々と力が抜けていく。手は結局、ぱたりと落ちた。シーツは握ったらだめ、らしい。手、どこに。
「ひっ」
胸の、皮膚の薄いところを、舐められた。全身が震える。
(僕、そこ、弱いん、だ)
そうだ。発情期のとき、一番触れてしまう場所だった。手は咄嗟に、声を抑えようと組むような形で口元に来てしまった。陽色くんと目が合う。心なし、笑っているように見えた。
「ひ、いろくん、そこ、いいから。も、やっ」
吸って、舐めて、捻られて、僕は声を堪えるのに必死だった。
身体の奥が熱い。発情期のときのような強制的で急激なものじゃない。ゆっくり、じんわり、けど、熱い。
「陽色、く、んっ、は、はぁ、ぁ、も、いから」
「ん。前、触るね」
「い、いい。そんな、の。僕のことより、んっ!」
起こそうとした身体は、簡単にベッドの上に戻された。足の付け根あたりで、陽色くんの頭が小刻みに動いている。チュ、チュと陽色くんはそこにもキスをくれた。
(僕の、勃ってる)
だめだ。もう無理だ。恥ずかしすぎる。耐えられない。みっともない、こんなの、見せて、させて、嫌われる。
「い、いいから、も、いいから、あっ」
「指、いれるよ」
「ひぅ」
僕の指と全然違う。陽色くんの、骨張った、長い指が、僕のナカに入っている。
「すごい、柔らかいのに、」
「ひっ、ぁ、動かないで」
「春さんが奥に誘ってるんだよ」
「そん、なぁ」
指が増やされる。いやらしい、品のない音が部屋中に響いているように感じ、顔が火照る。濡れてることに安堵すると同時に罪悪感が増した。
だって、僕ばっかりが気持ちいい。
「は、やく、いれて」
「え」
陽色くんが、やりやすいように、少し腰を浮かし、膝を開く。みっともない。はしたない。
「は、やく」
オメガは、繁殖するのに適した身体をしているらしい。発情期じゃなくても、快楽を感じれば濡れるし、ナカの具合は一級品……と、聞いたことがある。
(僕のが、どうかわからないけど)
陽色くんを気持ちよくしてあげたい。
指が抜ける。腰の両側から手が添えられる。入り口に熱いものが触れているのがわかる。陽色くん、の、そうだ、僕、1回も扱いてあげられてない。何やって――
「ん――っ!」
気が緩んだのを狙っていたかのように、陽色くんのモノが僕のナカへと突き入れられた。奥へ奥へ、苦しいくらいの圧迫感に、身体が逃げようとする。
「ああっ」
それを許さないとばかりに、陽色くんは僕の腰を抱え込んだ。
「春、さん」
「や、あつい、おっき、ま、だ、?」
「っ、春さん!」
「あっ」
身体をすっぽり抱え込まれる。陽色くんの息、乱れてる。気持ちいいって思ってくれてる? 僕も、気持ちい、い。
「動いて、い?」
「ん、」
手、は、そうだ。陽色くんの首に回すんだ。陽色くんの金の頭を僕も抱え込む。
「好きに、し、て」
言い終わるや否や、陽色くんは激しく僕を突いた。ナカの弱いところ全部が擦られ、休む間もなくて、僕は意識せぬまま、1度放っていた。けど、陽色くんの動きは止まない。
「あっ、あっ、っ、」
殺そうとしても声が漏れてしまう。陽色くんが息継ぎの隙をくれないせいだ。僕は女みたいな甲高い声をあげて、また放った。
「や、も、だめ、陽色くん、陽色くん、あっ」
「春さん」
「あう」
乳首に触れられ、肩が跳ねる。
(陽色くんの、も、すこし)
力が抜け、完全にされるがままになってしまった僕を、陽色くんは更に突いた。
「好きだよ、春さん」
「あ、ああっ」
がっちり抱きしめられて、動けない。ナカに勢いよく熱いものが注がれる。僕はその感触に身もだえながら、小さく、声を上げ続けた。
「ぼ、くも、好、き」
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