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偶然(※)
仕事を始めてから三週間後。ようやく仕事を覚え始めた。ゆっくりではあるが、全ての仕事をきっちりとこなせるようになった。
今現在は彼の風呂の面倒を見ている。ネテルは青く透き通った、赤い薔薇の散らばる美しい長風呂に入っていた。リラックスしているように見える。
「やれば出来るじゃないか。偉いぞ。でもな、もう少し早く終わらせろ。ちんたらするな」
「はい。分かりました」
「イテテテ……おい、急に力を入れるな!痛えだろ、この野郎!」
「す、すみません」
現在風呂に入っている彼の肩や腕を揉むマッサージをしており、最初の時は全然出来なかったけど今は大体できるようになった。たまに力の加減を失敗するけども。
「もうマッサージはいい。自分の部屋に行ってろ。飯を持っていく」
「えっ。肩はまだ……」
「俺に口答えするつもりか!今すぐ目の前から消えろ!」
腕を振り払って、お湯を撒き散らし立った。強く言うと、彼は目からうるっと涙を流す。その表情を見たネテルは、頬が赤くなり座って浴槽のお湯に目を向ける。
そのままアークは、走り去ってどこかへ行ってしまった。恐らく部屋に戻ったのだろう。
ネテルは大きなため息をつく。暴言を吐いてしまったことに後悔しつつ、あの時の顔を思い出していた。
「はぁ……なんであんなこと言ってしまったんだろう。嫌われたかな……。あの顔は反則だろ……可愛かったな。可愛かったって……相手は男で、奴隷だぞ。こんな気持ち、持っちゃダメだ。親父やお袋に見つかったら、怒られちまう。隠さなきゃ」
風呂のお湯に口を入れて、ゴボゴボと音を鳴らす。一種の照れ隠しだ。
アークはネガティヴな気持ちで廊下を走ったせいか、今どこにいるのか定かではない。このお城の中は広すぎて、まだ場所を全て把握していない。
走っていたら右足を挫いてしまい、廊下にうつ伏せの状態で転がった。おでこを床にぶつけて、ヒリヒリと痛む。転んだ時に出来た傷が痛く、ますます涙が溢れてきてしまう。声を出さずに、啜り泣く。
踏ん張って立ち上がり周りを潤んだ瞳で眺めると、扉が半開きになっていた。そこから何か息苦しそうな声がした。これは危ない状況なのかもしれない。すぐに助けなければ。
アークは扉を開けて中に入る。どうやら誰かの寝室のようだ。机や本棚には誰もいないため、隣のベッドルームだろう。何も考えずに好奇心のまま扉を開けて歩みを進める。
そこで、見てはいけない光景が目に飛び込んできて青ざめてしまった。涙が失せてしまう。思わず風呂のカーテンの後ろに隠れる。
ベッドの上で白髪の女の子が紐で首を絞められたまま、大男に犯されていたのだ。誰なのかは暗くて見えない。
彼女の口には猿轡がされて、その口から涎が沢山垂れている。裸の体には、鞭で打たれた痕や傷、紐で縛られた痕が数え切れぬ程あり、目をチカチカさせながら涙を流れていた。苦しそうに声を上げる。
膨らんだ胸の乳首に洗濯バサミが挟まれていて、それを引っ張っていた。胸自体からも赤黒い血を流している。クリトリスに、ピアスがたくさん。
男はその様子を見て、ニコニコと微笑んでいた。狂気しか感じれない。
「エリサちゃん、こんなに苦しそうにしてるのにおまんこ締め付けて。本当に淫乱で、かわいいね」
「ん゛ー!ん゛ー!」
「君のその恐怖に怯えた顔、とても可愛いよ。ゾクゾクしちゃう。さあ、今すぐ天国に行こうね」
男は頬を赤らめ、子宮に向けて何度も腰を打ちつける。パンパンという湿ったエロい音を響かせて、子宮口に膨れ上がった亀頭をぶつけていた。胸も揺れる。
濡れている音と苦しげの声を聞いていたアークの陰茎が、上にもたげて勃起していた。恐らくネテルに痛めつけられていたことを思い出したのだろう。上下に扱いてしまう。
初期の頃は全然気づかなかったが、ネテルはとても優しい人だ。確かに罵倒されて、殴られ蹴られた。それはアークのことを思ってしたことであり、出来るようになってからたくさん褒められる。とても嬉しくて、鼓動が高まった。
だが、褒められるだけでは満足しない。本当は支配欲に駆られていた。
来てから二週間後。殴られ蹴られたその後は逃げたい反面、少しだけ心が躍っていた。ずっとその気持ちに目を向けていなかったので、苦痛を感じていたのだ。
彼の言われた通りのことをすれば、褒められる。彼だけの自分にさせられるような支配されていく感覚に陥り、胸が疼いた。
ネテルの怒り顔を思い出して、小さな初々しい陰茎を立ったまま扱いていく。
「あっ……ネテル様ぁ……あっ……ん。もっと殴ってください……その後、もっと褒めてっ……!」
こんなのダメだと分かっているけど、発情が止まらない。手が加速していく。犬のように舌を出して息が荒くなり、頬が赤く染まっていた。体も反り返り、風呂場の枠に左手をつける。
「はぁ…!あっ…ん。ネテル様……!イくっっっゥ!!」
小さい陰茎から青臭い精液が流れてしまう。右手は我慢汁でベトベトだ。その手を眺めながら、顔を歪める。
「うっ……最低だ。逃げなきゃ」
逃げるためにカーテンから出て走る。
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