57 / 102

14話(7)#お風呂場でラブアイテム?!今日は俺が動いちゃう?!

「……洗い合いっこしたかった……」  湯船の淵に顎を乗せ、如月が身体を洗う姿を見つめる。 (水滴と泡がついてえっちだぁ~~) 「ちょっと! 変な目でこっち見ないで!」  如月が手に取ったシャワーのベッドがこちらを向き、顔面に水が掛かった。ぶっ。 「うわあ!! ちょ、やめて!! 見てない!! 見てないって、しかも水!! 冷たい!! やめて!!」  手で水が顔にかかるのを防ぐ。 「うそ! 絶対うそ! えっちだぁ~~みたいな顔してた!」  バ、バレてる! シャワーの水圧が強まる。 「やめて!! 冷たい!! 見ない!! 見ないからやめて!!」  でも見たい。水を防ぐ手の隙間から、如月の裸を見つめる。はぁ、えっち~~。むらむらする。 「睦月さぁあぁあん!!!」  水が止まり、げんこつで頭を挟まれ、ぐりぐりされる。 「痛い痛い痛い痛い!!! ごめんなさい!! 見ません!! もう見ません!!」 「もうっ!!」  頭から手が離され、如月が湯船に入った。俺の後ろに如月が座る。どき。 「はぁ~~。ごめんね?」  髪を額の上から掻き上げ、一息付きつく如月に鼓動が早くなる。なんかえっちだな。真面目な顔をする如月を目線を上げ、見つめた。 「それは、何に対して?」 「んーー全部。別に睦月さんが私の為に何もしてないとは思ってないですし。他にも色々」 「もう良いって。元は俺が悪いんだし。俺の方こそ、傷つけるようなこといっぱい言ってごめん」  やっと、きちんと謝れた気がする。 「これで仲直りね?」 「うん」  顎が如月に掴まれ、如月と顔が近づく。唇を重ねた。  ちゅ。  良かった。モヤモヤしたものが全て晴れた。きちんと仲直りできた。距離が少し空いた分、今度はいちゃいちゃしたい。よし、俺から攻めよう。いつも俺ばっかり受けなんてずるい。  如月に挿れたい!!!  如月の方に身体を向けた。 「どうしたんですか?」  ドン。 「ーーえ?」  壁ドンうぇ~い。如月が目を見開いて、固まっている。  浴室の壁に手を付き、如月に迫る。唇を重ね、離す。唇同士を軽く当て、小鳥のように何度もキスを繰り返す。キスしている音が、浴室にいやらしく響き、体の中が少し熱くなる。 「ーーーーっ」  頬を赤く染め、されるがままの如月に感情が昂る。如月は手を伸ばし、何かを手に取り、湯船に入れた。  とろ。浴槽のお湯に違和感。一旦キスをやめ、湯船を見る。なんかお湯がトロトロする。ローション? ちょっと柑橘系のいい匂いする。なんかすごい!! なにこれ!! 「何入れたの?」  とろとろするお湯が面白くて手でかき混ぜて遊ぶ。 「ラブアイテム」 「らぶあいてむぅ~~? すごいね! これ! 楽しい!! 面白い!!」  初めてのとろとろのお風呂にテンションが上がる。 「空気読もうよ~~」  顔が如月の両手に挟まれ、引き寄せられる。唇で唇をこじ開け、強引に舌が差し込まれた。 「~~~~っ!!」  あぁ、もぉー。結局~~。  絡み合う舌。ゆっくり、しっとり、吸い付くように奥へ。もっと如月を感じたくて、もう一度、浴室の壁に手を付き、如月の上に|跨《またが》り密着する。  背中に如月の腕が回り、ぎゅっと抱きしめられた。 「ーーはぁ……」 「挿れていい?」  浴槽の淵置いてあるゴムを手に取り、如月へ訊く。 「私にはダメですよ」  頬がほんのり赤く、目尻が垂れている。色っぽい。挿れたい。 「如月はけちだなぁ……」  お風呂の栓を抜き、湯量を少し調節する。 「けちじゃないし」  ゴムを開封し、如月の幹に付けた。 「今日は俺が動いちゃうもんね~~」  ゆっくり腰を下ろし、如月の幹を窄みに擦り付ける。 「……まだぁ? 手伝いましょうか?」  自分で挿れるのって難しい。うまく入らない。 「いや、いい! 頑張る」くっ、むずい! 「ふっ。そんなんじゃ、私に挿れるのは到底無理ですねぇ」  鼻で笑うな!! むか。 「……っ……はぁ……出来たしぃ」  この前より奥にくる。やばい、むりかも……。 「ゆっくりでいいよ?」 「ぁあっ……あっむりぃ……」  腰に如月の手が添えられる。少しでも動くとイっちゃいそう。お風呂のとろみがいつもより身体を敏感にさせる。 「全然動いてないよ、睦月さん。ほら頑張って」  ちゅ。お腹の辺りから胸に向かって、何度も口付けされ、身体がビクッと反応する。 「ぁっ…あっあっやめっ…ぁああっ…あっ…だめっあっ」  腰へ添えられた手に力が入り、無理やり上下に動かされる。気持ち良さで目が開けられない。 「この前より良い顔してるよ?」  首筋、鎖骨、胸と順番に愛撫され、少しずつ、動きが早まる。気持ちいい。 「だめっあっあっ…あぁっあっんっあっ」  熱い。自分の体の中が、とても熱い。ローションのぬるぬるさが滑りを良くして、余計に気持ち良い。卑猥な音が浴室に反響し、官能を刺激する。 「あっあっぁあっ…はぁ…ああっあっだめっもうだめっぁあっんっ」  体の奥が熱く、心臓はすごくドキドキする。体の全ての神経が性感帯。涙腺も刺激され、気持ち良さで涙が出てくる。如月と目が合い、強く抱きしめられた。 「ひああっ」  耳元が甘噛みされる。音を立てながら、舌先で耳の中をなぞられ、ゾクゾクする。荒い吐息を耳元で感じ、身震いしてしまう。耳元で如月の声が響く。 「…あっ…はぁ……名前…呼んで?…はぁ…んっ」  如月の顔を見る。ちゃんと気持ち良さを感じているのか、目はうっとりしている。今日は少し喘いでいるなぁ。かわいい。 「ぁあっあっぁっ…やぁっやよ……あっ」  上下に動かすのをやめてくれない。上手く名前が呼べないよ。 「…はぁ…あっ…もう一回、もう一回言って…はぁ」  如月の背中に腕を回し、強く抱きしめる。 「弥生すき…ぁああっ」 「…出っ…はぁ…睦月さん好きですよ…っんはぁ……」  もう大好きなんだから。  ーーーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー  *  お風呂から上がった。なんでしょう。恥ずかしくて、気まずい。一旦冷静になってしまうからだろうか。ソファに座る睦月の方をチラッと見る。  目が合った。向こうも頬を染め、気まずそうしている。  どう接するのが正解?! パターン1。『睦月さ~~ん、気持ち良かったね?』パターン2。『お茶飲む?』パターン3『もう1回する? 嘘だよ~~ん』どれだ? 分からない!!!  嘘だよんパターンが私っぽい? 今日はもうする気ないけど。3で行こう!!!  睦月の隣に座り、首を傾け、じーっと目を見つめる。 「な、なに?」  耳元に顔を寄せ、呟く。 「もう1回、する?」  耳の外側を甘噛みする。 「えっ!! いいの?! 俺、挿れちゃうよ?!」ん? 「いや、それはちょっと……」あれ? 「如月から2回戦誘ってくれるなんて嬉しいなぁ」え、ちょっ。 「ベッド行く?」話進めないで!!!  あるぇ?? おかしい!! いつもなら『えっ……』みたいな感じでしょうがぁああああ!!! 墓穴掘ったぁ!!!!! 嘘って言いづらい!!! 嘘つきって言われる!! ぁあああぁああ!!! 「えっと、あの……その……に、2回戦はちょっと……」  断りづらい。顔に手のひらを当て、目線が合わないようにする。 「は? また思わせぶり!! なんで誘ったの!!!」 「いやぁ~~えーーっと……」 「如月からちゅーしてくれたら許してあげる」  口を尖らせ、拗ねている。可愛い。 「えぇ~~? ーーん」  睦月の頬に口付けする。ちゅ。 「ほっぺーー? まぁ良いけどぉ」  私の髪に睦月の手が触れた。 「髪、濡れてる。乾かしてあげよう」  睦月は脱衣所からドライヤーを持ってくると、コンセントを差した。  ぶぉおお~~。 「如月、こっちおいで?」 「なんか変な感じ」  睦月の前に体育座りする。 「変な感じって~~?」  私の髪に触れ、指先を通しながら乾かす睦月の手に心地よさを感じる。 「んーー? 睦月さんのくせに優しい」 「はぁ? 俺はいつも優しいでしょ」  睦月さんの顔は見えないけど、分かる。きっと、笑ってる。 「ふふ、そうですね」  口元が緩み、笑みが溢れた。  ドライヤーの風が暖かくて、心を和ませる。なんだか、お世話をしてもらってるようで、愛を感じる。もう、歯止めとか、どうでもいいか。  愛してしまっているんだ。お互い。  きっと、それはどうにもすることも出来ない。例え、この先、睦月さんが私との未来を選ばず、自分が傷つく結果が待っていたとしても、気持ちを押さえず、愛情を注いでいこう。  睦月がベランダで言った言葉を思い出す。 『あなたを一生愛することを誓います』  あなたが私を愛し続ける限り、私も誓うよ。睦月さん。 「乾いたよ~~如月ぃ」  睦月に顔を覗き込まれる。 「ありがとうございます。今から何します?」  寝るにはまだ少し早い。 「朝までえっちしよ」  えぇ……無理……。 「今日は、もう……ちょっと……」 「ぇえ? 如月が言い出したのに?」くっ。 「うっ……いや……その……朝までとは……言ってな……」 「そうだっけ? でも嘘は良くないよねぇ~~寝室はどこかな?」  ぁああぁああぁあぁ!! 「行かない!! 今日はもう無理!! やだぁ~~」  睦月に手を引っ張られる。ずりずり。 「早く~~自分が言い出したんでしょ」 「違う~~違わないですけど~~そんなつもりじゃなかったぁ~~」  無理やり立たされ、半ば強引に寝室へ連れて行かれる。 「まぁまぁ、優しくするから愛でさせて?」  睦月にベッドに押し倒され、優しく唇が重なった。 「……睦月さんのそれは信用出来ない」 「ひどくね? でも俺はぁ、如月が少し疲れてるくらいが大人しくてちょうど良いかな」  腿の間に睦月の手がくる。 「ひどい……優しくしてーーぁあっ」  指入れるなんて聞いてない。いつも出さない声が出て、口元を手で押さえる。恥ずかしさで顔が真っ赤に染まる。 「わぁ、かわいい。優しくするって。心配性だね。夜は長いよ、如月」  いつになく、艶かしい微笑みを浮かべる睦月に、少しだけ気持ちがそそられた。  今日はこれも悪くないかもしれないーー。  睦月に身を委ねた。  ーーーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー

ともだちにシェアしよう!