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第16話
(うーん……。まあ、うん。そうか、そうなるよな)
画面に映る男同士の映像をじっと眺めて雄大は唸った。
伊織に『してもいい』とは言ったものの、ふんわりとした知識しかなかった雄大は、とりあえずと情報収集をしてみることにしたのだ。アダルトビデオは見たことがあるが、さすがにゲイビデオはない。男相手にしてみたいと思ったこともないし、男の裸を見たとて特別興奮した記憶も当然ない。
(けど、あんときは……)
この間、伊織と触り合いをしたときには、もうすこしこう、ムラムラすると言うか、したいなと感じたのに、と思いつつ、ベッドの上でごろりと転がる。
(つか、伊織ってオレで興奮する、ってことなんだよな……。なんていうか……)
雄大はずっと伊織のことを友達だと思っていたけれど、伊織は雄大とエッチなことがしたいと思っている。つまりは雄大相手に性的に興奮するということなのだろうけれど、正直言ってあまりピンとこない。
そろそろと服を捲って、自らの身体を確認してみる。まあ、見たところで、いつもと変わらない裸だ。首をひねって、服を元に戻す。
(別に、普通だよな?)
何がいいのかよくわからない。女みたいに柔らかくもないし、色が白いわけでも、すべすべしているわけでもない。雄大が抱きたいと思う身体ではないなと考えて、大事なことを思い出した。
(あ! オレがいられられる側か! いや、でも念のため確認……)
むくりと身体を起こし、ベッドに座る。アプリを開いて伊織に電話をかけた。曲が流れてすぐに、『もしもし?』と伊織の声が聞こえた。
「あ、もしもし伊織? あのさ、伊織ってどっちがしたいの?」
『は? どっちって何?』
なんとなく伊織は入れたい側、なのだと思うけれど、確認が必要だ。女相手なら間違うことはないが、雄大も伊織も男である。万一、伊織がされたいと言うのなら、勉強しなければできないと思う。雄大は他人の尻に突っ込んだことはない。
(まあ、突っ込まれたこともないけど……)
どちらにしても、勉強しなくてはいけないのだろう。そう思ったから動画を検索していたのだけれど、入れる側になるのか、入れられる側になるのか、によって勉強すべきことが違う気がする。
伊織は質問の意味がわかっていないのだろう。電話口から『何の話だ?』と声がした。
「この前の話! 伊織、どっちがいいの?」
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